５月に広島市で開かれる先進７カ国首脳会議（Ｇ７サミット）を前に、兵庫県警は２４日、神戸市北区の大型商業施設、イオンモール神戸北でテロを想定した訓練を実施した。サミット期間中、会場と離れていても、不特定多数の人が集まる場所「ソフトターゲット」は狙われやすいことを警戒。岸田文雄首相の演説会場で爆発物が投げ込まれた事件も踏まえ、機動隊員や有馬署員、店員ら約２５０人が通報や負傷者対応などの手順を確認した。

　訓練では、店内に２００人以上の客らがいる中、不審な男が紙袋を置いて逃走した－と想定。通報者が画像などを送信する「１１０番映像通報システム」の本格運用が４月から全国で始まっており、参加者の一人は紙袋の大きさや見た目をスマートフォンから報告した。

　店員らは客役を店舗外に誘導。負傷者らに対する治療の優先順位を決めるトリアージの訓練では、済生会兵庫県病院（同市北区）の救急救命士と看護師が、施設内で働く薬剤師に応急救護を指導した。

　一方、防護服を着用した機動隊の専門部隊は、不審物に見立てた紙袋を棒状の機材を使って処理。捜査員が防犯カメラを分析して容疑者役を追跡、駐車場にいたところを取り押さえた。

　有馬署の近藤嘉晴警備課長（４２）は、岸田首相の襲撃事件や安倍晋三元首相の銃撃事件を念頭に「皆さんにも、身近な場所でもテロが起こる可能性があるという意識を持ってほしい」と話した。（安藤真子）