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「チャットGPT」のホームページ画面
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「チャットGPT」のホームページ画面

 質問すると自然な文章で人工知能(AI)が回答する「チャットGPT」などの対話型ソフトを巡り、兵庫県内の教育現場が対応を模索している。リポート作成をAI任せにする生徒が増える恐れもあるとして注意を呼びかけた学校がある一方、積極的に使いこなそうと検討する大学も。文部科学省は新技術にまだ見解を示しておらず、小中高校を含めて手探りが続く。(上田勇紀、大橋凜太郎)

 学校法人関西学院(西宮市)は4月13日、大学生・大学院生と教職員に向け、「インターネット上の各種ツール利用にあたっての注意喚起」と題した文章を出した。

 チャットGPTなどネット利用の注意点をまとめたもので、個人情報や機密情報を入力しない▽利用が他者の権利侵害になる恐れがある-などとし、「リポートや論文に利用すること自体が不正とみなされる可能性がある」と呼びかけた。「利便性と危険性の両面があると認識してほしい」と広報室企画広報課の中谷良規課長は話す。

 甲南大(神戸市東灘区)も同19日、学長・教務部長名で注意喚起。授業課題や論文などで、チャットGPTを含む「生成系AI」が作成した文章をそのまま、自分が作成したものとして利用することを禁止すると発表した。兵庫県立大(同市西区)は「学位論文などを生成系AIのみを用いて作成することはできない」と示した。

 文科省は本年度中に対応指針を策定するとしており、神戸大(同市灘区)は「動向を見極めたい」、神戸学院大(同市西区)も「国などの対応を見て検討を進めたい」とした。

 一方、甲南女子大(同市東灘区)は同13日、文学部メディア表現学科で、チャットGPTを取り入れた授業を始めた。「メディア表現発展演習I」で、学生が活用して授業の進め方を考え、模擬授業を行う予定という。「AIを使いこなす能力を養うのが狙い」としており、学生には注意点も併せて伝える。

     ◇

 チャットGPTといった対話型AIが普及すれば、大学だけでなく小中学校、高校にも影響は広がるとみられる。読書感想文などのさまざまな課題をAI任せにする子どもが増えれば、成績評価に支障が生じる上、自分で考える力が身につかない恐れがある。

 兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会は、今後示される文科省の指針に沿って対応するとしている。同市教委の担当者は「前提として、家庭学習の狙いを子どもや保護者にきちんと理解してもらうことが大切だ」とコメントした。

 現場教員の思いは複雑だ。県内公立小学校の教員は「子どもたちの想像力や、表現力を育む機会が奪われる」と懸念。県立高校の校長は「将来的には、AIを活用して学ぶことが当たり前になるのでは」と指摘して続けた。「置き去りにされてしまう生徒がないよう、学校側が学びを支えていく必要がある」

【チャットGPT】米新興企業「オープンAI」が開発し、昨年11月に一般公開された。GPTは「Generative Pre-trained Transformer(生成的で事前に教育された、機械学習モデル)」の頭文字。雑談を意味する「Chat(チャット)」と組み合わせた。スムーズなやりとりができると話題になる一方、不正確な回答や、思考力低下につながるとの懸念が指摘されている。大手企業も対話型ソフトの開発を進め、米グーグルは今年3月に「Bard(バード)」の一般公開を始めた。

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