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鏡面ガラスに姫路城を映す県立歴史博物館=姫路市本町
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鏡面ガラスに姫路城を映す県立歴史博物館=姫路市本町
内部にも姫路城のモチーフが。壁は石垣、上部の換気口は狭間から着想した=姫路市本町
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内部にも姫路城のモチーフが。壁は石垣、上部の換気口は狭間から着想した=姫路市本町
【城見ラウンジ】館内一の絶景スポットにベンチを新設した「城見ラウンジ」=姫路市本町
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【城見ラウンジ】館内一の絶景スポットにベンチを新設した「城見ラウンジ」=姫路市本町
【壁面スクリーン】大量の古写真、絵はがきコレクションを壁面に投影する新設コーナー=姫路市本町
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【壁面スクリーン】大量の古写真、絵はがきコレクションを壁面に投影する新設コーナー=姫路市本町
れきはく周辺エリアのジオラマ=姫路市本町
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れきはく周辺エリアのジオラマ=姫路市本町

 大規模な改修工事を終えて今月8日にリニューアルオープンした兵庫県立歴史博物館(れきはく、姫路市本町)。外壁の鏡面ガラスは約1年半ぶりに、南側の世界文化遺産・国宝姫路城を映し出した。改修は建物の設備更新が主だが、鑑賞スポットや展示方法など、新たな見どころも登場。今月は開館40周年を迎えた節目の月でもある。れきはくの歴史を振り返るとともに、新しい楽しみ方を紹介する。(上杉順子)

■城との調和、模索したジオラマ 米朝さんとの企画は三男が担当

 れきはくは1983年4月に開館。県政100年(67年)を記念して計画された博物館を、姫路市が誘致した。学芸員の藁科宥美さんは「高度経済成長で人々の暮らしが近代化し、昔の生活を記録、保存しなければ-という機運も全国的に高まっていました」と、背景を解説する。

 70年の大阪万博で、博覧会にも注目が集まった。81年には神戸ポートアイランド博覧会が開かれ、閉幕後にパビリオン「兵庫縣(けん)館」の展示物がれきはくに移設され、現在の展示の中核になった。3月末現在、収蔵資料は27万5060件。ジャンルは歴史、考古、美術、民俗、そして姫路らしく城郭と、多岐にわたる。

 建物の基本設計は、世界的建築家の故丹下健三さんが手がけた。見る者に強い印象を残す外の鏡面ガラスはもちろん、内壁は石垣、換気口は狭間(さま)など、姫路城をモチーフとした意匠が内外にちりばめられている。

 開催中の40周年記念特別展「ヒストリー・オブ・ミュージアム」(同館と神戸新聞社主催)に、周辺エリアのジオラマがある。基本構想検討のために丹下さんの事務所が製作した模型を再利用したとみられ、れきはくの部分は、建物の形状が異なる模型が複数残されていた。何度も検討を重ねながら、姫路城の美と調和する現在の配置が生み出された様子がうかがえる。

 同展では、40年間に企画した195の展覧会から、桂米朝さんや妖怪など話題になったものを取り上げ、担当者の思い出とともに振り返ったりもしている。

 「人間国宝・桂米朝とその時代」(2017年)の担当学芸員は、偶然れきはくに勤務することになった三男の中川渉さん。米朝さんが亡くなった日に異動の内示があったこと、館長から「お父さんの展覧会をやって」と「むちゃ振り」されたことなど、学芸員かつ展示対象の身内という、まれな立場からの打ち明け話が興味深い。

 また、「妖怪」がテーマの特別展(1987年)を公立博物館で初めて開いたれきはくらしく、妖怪展については特設コーナーを設置。のれんの隙間から警備員の姿が見えるが、前に回り込むと、それは人ならぬ-。学芸員のいたずら心から生まれた、あっと驚く仕掛けが楽しめる。

 特別展(一般千円)は6月18日まで。月曜休館。れきはくTEL079・288・9011

■見て触って学べる新設備

 ここからは、改修を経て誕生した、れきはくの新たな設備をご紹介する。

 その1、城見ラウンジ。2階のカフェにつながる通路は、姫路城が一望できる絶景スポット。その壁際にある換気筒にベンチを併設し、ゆっくり座って、心ゆくまでお城を眺められるようにした。

 その2、壁面を活用。姫路の郷土史家、故高橋秀吉さんが集めた約16万点の古写真や絵はがき「高橋コレクション」は、明治から昭和にかけての県内の世相を伝える貴重な資料だが、なかなか展示する場所がなかった。そこで2階の壁に次々と投影することに。

 また、1階エントランスから中央の大きなモニターを撤去し、イベントなどの際、空間を広く使えるようにした。モニターに映していたれきはくの紹介映像は、壁をスクリーンにして流す。藪田貫館長は「建築物としての魅力にも着目し、建物の使い道の多様性も追求したい」と意気込む。

 その3、誰もが楽しめる「ユニバーサルミュージアム」。貴重な所蔵品を手に取ることは難しいため、楽しみ方は「見る」ことに偏りがちだが、他の感覚でも親しんでもらいたいと、「触れる展示」を導入した。特別展で展示している鎌倉時代の狛犬(こまいぬ)など数点を3Dプリンターで出力。1階の無料エリアにあり、好きなだけなで回せる。

 そのほか、常設展示に仏教文化や絵画、工芸などの美術、昔の生活用具のコーナーが登場。子どもが遊べるコーナーも新しくした。

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