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国際レースやラリーなどで使用されたタイヤに触れる宮園拓真さん=伊丹市藤ノ木2、トーヨータイヤ本社
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国際レースやラリーなどで使用されたタイヤに触れる宮園拓真さん=伊丹市藤ノ木2、トーヨータイヤ本社
レースに参戦する宮園拓真さん(宮園さん提供)
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レースに参戦する宮園拓真さん(宮園さん提供)
「グランツーリスモ」のレースの一場面(C)2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
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「グランツーリスモ」のレースの一場面(C)2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.

 本物の自動車レースさながらに運転の腕を競うレーシングゲーム「グランツーリスモ(GT)」。そのソフトを使った「eモータースポーツ」の2020年世界チャンピオン宮園拓真さん(23)=兵庫県尼崎市出身=が、タイヤ大手のトーヨータイヤ(伊丹市)に勤めながら参戦を続けている。実際のレースにも関わるようになり、「バーチャル(仮想)と現実の壁を越えてモータースポーツの魅力を伝えたい」と意気込む。(石川 翠)

 車好きの父親の影響で、小さい頃からレースの実況映像をよく見ていた。ゲーム機でGTを始めたのは4歳の時。小学6年生で、本物の運転席を再現したハンドルやペダルセットを、お年玉で購入した。ただ周囲に本格的なレースゲームをする人がおらず、ひたすら1人で技術を磨いた。

 転機は、大学受験を控えゲームを封印していた18年。GTの世界大会が開かれるとニュースで知り、受験を終えたその足でゲーム機とソフトを買いに行った。それから再びゲームに没頭していった。

 同ゲームは、本物の自動車レース並みの運転技術が必要とされる。レースは、個人で参戦してアジア地区大会の年間シリーズを戦い世界大会進出を目指す「ネイションズカップ」と、トヨタ自動車やポルシェなど世界のメーカーと契約してチームの一員となり団体戦を競う「マニュファクチャラーズカップ」の二つの選手権がある。

 宮園さんは18年に初参戦し、同年は3人のチーム戦だったネイションズカップで世界大会4位に。20年には、日英仏など7カ国語で配信され計38万人が視聴する中、同カップで優勝を果たした。同時にマニュファクチャラーズカップでも優勝して2冠に輝き、一躍有名に。ファンも急増した。

 ゲームを通して「100分の1秒のタイム差を競うレースを突き詰め、タイヤの重要性に行き着いた」。ゲームでも走り方がタイヤのすり減り具合に影響し、「グリップ力の低下をいかに抑えられるかが結果を左右する」という。

 タイヤメーカーに興味を持ち、国内のサーキットでドリフト走行を競うレース「D1グランプリ」で憧れのチームだったトーヨータイヤを志望した。

 働き始めて、画面上では「黒い塊」だったタイヤが実は実験を繰り返して割り出した比率で多様な素材を配合してつくられている精密な製品であることに気付き、驚いた。

 配属部署は、同社が参戦や協賛しているレースやラリーなどを担当する「モータースポーツチーム」。ここで、D1グランプリなど国内モータースポーツの推進と自社のブランドイメージの向上などを担っている。「これまで選手として結果を出すことだけに集中していたが、多くの人が携わり、そのおかげで選手が表舞台に立てることを実感した」と語る。

 学生時代に比べ時間の確保は難しいが、昨年11月にモナコで開かれたGT世界大会では3位に入った。未明の時間帯の配信を、上司も見てくれていたという。

 「社員ドライバーとして出場して世界中の車好きに自社ブランドを広めていきたい」と宮園さん。まだまだ挑戦は続く。

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