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 2023年に入り、兵庫県内における特殊詐欺被害の認知件数が過去最悪の水準で推移している。1~3月は、前年同期比37%増の300件で、未遂を含めた相談件数も大幅に増加。県警は、犯人グループによる詐欺の電話などが爆発的に増えているとみて警戒を強める。(門田晋一、小川 晶)

 県警によると、23年1~3月の認知件数は300件で、1日平均3・3件の被害届が出ている計算になる。年間で過去2番目に多かった22年の1~3月よりも81件増えており、被害額は約2900万円増の約3億5700万円となっている。全国的にも同様の傾向で、警察庁の23年1~3月の統計では、前年比約3割増の4533件に上る。

 兵庫の被害の内訳を見ると、携帯電話のショートメッセージやパソコン画面の警告表示などを悪用した「架空料金請求詐欺」が131件で最も多い。固定電話にかかってくる「還付金詐欺」が110件で続き、県警の担当者は「新しい手口によって被害が膨らんでいるのではなく、人口の多い都市部を中心に犯人グループの攻勢が強まっている」とみる。

 その見立てを裏付けるように、未遂やアポ電などを集計した相談件数は1843件で、22年同期の1024件から8割近く増えている。県警は、ATMを設置する店舗などと連携し、声かけなどによる「水際対策」にも重点的に取り組み、未遂にとどまったケースの要因では「コンビニ」の178件が「親族」の175件を上回る。

 県警は、被害の増加傾向が顕著になった22年9月、専従の特殊詐欺特別捜査隊を置いて体制を拡充した。受け子から指示役への突き上げ捜査を徹底し、暴力団などの関与も分析。有力な情報の提供者に対し、最高100万円を支払う制度を新設するなど包囲網を広げる。

 それでも歯止めがかからない現状に、ある県警幹部が漏らす。「特殊詐欺を食い止める抜本的な対策はない。人ごとではなく、わがこととして一人一人に備えてもらうしかない」。県警は、全ての県民を「潜在的な被害者」と位置付け、犯罪の傾向に対応した啓発活動や戸別訪問で注意喚起を続ける。

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