私たちはなぜ人の容姿にあれこれと口を出してしまうのでしょうか。薄毛の人をハゲと呼んだり、太っている人をデブと笑ったり…。
日本でも「ルッキズム」という言葉が広がっています。外見で人を判断したり、差別したりすることで、外見至上主義とも訳されます。
見た目を理由に人を傷つけることは許されないと、自戒や反省を踏まえて思う。それでも、容姿を巡る話題や言動は日常に溶け込んでいます。
イケメンの知人がいます。目と鼻がすらりとした色白の男性です。ことあるごとに「男前」と言われています。彼は照れるでも謙遜するでもなく、そんな「称賛」を静かに受け流します。
褒められると、素直にうれしい。とはいえ、もし自分が彼のようにイケメンで、かっこいいと言われ続けたら。どう反応すればいいのか、きっと困る。すこし煩わしくさえ感じるかもしれない。
友人にフランス人の女性がいて、東京で芸能活動をしています。日本に来てから注目されるのが、顔の大きさ。「顔ちっさい!」と、いつも驚かれるそうです。そのたびに彼女は「脳みそが小さい」と言われているような気がするといいます。
日本で顔の小ささは「美人」の要素の一つとされ、褒め言葉として使われるけれど、文化や文脈、個人の価値観によってその伝わり方は変わります。
ぽっちゃりしている友人がいます。飲み会で、誰かがその体形をいじると、その彼は軽やかな切り返しで場を温めてくれます。「誰がクマのプーさんや!」
自らの薄毛を自虐ネタにして笑いを誘う人がいれば、カツラで隠したり育毛に励んだりする人がいる。整形手術やダイエットで理想の自分を追求する人もいる。ありのままの姿を愛せる人がいれば、そうでない人もいる。
私たちはいつも誰かに見られ、誰かの姿を見ながら生きている。コンプレックスはきっと本人にしか分からない。他者と自分のまなざしの間で揺らぎながら、誰もがその人なりのやり方で、自らの容姿と付き合っているのだと思います。
こうやって文章にして触れようとすること自体が、失礼な振る舞いなのかもしれません。ただ、それぞれに違う容姿との向き合い方を理解することができれば、無自覚に人を傷つけてしまう前に立ち止まることができるかもしれない。
そんな思いで取材を始めました。この記事を読んでくださったみなさんは、ルッキズムについて、どう考えますか。自分の容姿のこと、どう思っていますか。好きですか、それとも嫌いですか。もしよければ、聞かせていただけませんでしょうか?(大田将之)
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神戸新聞では、容姿を巡る体験談や考え方を募集しています。後日、記事として紹介させていただきます。アンケートフォームは、こちらです。
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