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来年5月に開催される世界パラ陸上競技選手権大会のテスト大会として開かれた、日本パラ陸上競技選手権大会。組織委は本番に向け集客にも力を入れる=4月30日、ユニバー記念競技場
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来年5月に開催される世界パラ陸上競技選手権大会のテスト大会として開かれた、日本パラ陸上競技選手権大会。組織委は本番に向け集客にも力を入れる=4月30日、ユニバー記念競技場

 神戸市で来年開かれる「世界パラ陸上競技選手権大会」の開幕まで、17日であと1年になった。東アジア初開催となる国際スポーツ大会は、新型コロナウイルス禍を経て、2021年夏の東京パラリンピック(パラ)の熱戦を継承。障害者をはじめ誰もが暮らしやすい社会を後押しするため、大会組織委員会は「神戸にレガシー(遺産)を残す」と準備に力を入れる。(有島弘記)

 大会は国際パラリンピック委員会(IPC)が1994年に創設。神戸開催は当初、2021年9月に予定されていたが、新型コロナ感染拡大の影響で2度延期された。会期は24年5月17~25日、約100カ国・地域から選手約1300人の参加を見込む。

 神戸市はこれまでに、会場となるユニバー記念競技場(同市須磨区)の改修などを進めてきた。トイレをバリアフリー化し、車いすが出入りしやすいようにスロープを拡幅。場内の大型ビジョンを一新し、メインスタンドの座席も取り換えた。

 4月末には2日間、テスト大会として日本パラ陸上競技選手権大会を開催した。車いすのレース後、順路の傾斜が残された課題だったが、選手との触れ合いを兼ねてスタッフが押すことにした。大会組織委の増田明美会長は「世界パラ陸上競技連盟(WPA)もこの雰囲気がいいと言ってくれている」と運営に自信を示す。

 一方、課題は集客だ。テスト大会では新たにアジア記録が4個、日本記録が17個生まれたが、初日は1670人、最終日は1340人にとどまり、最大約4万5千人を収容できる競技場では空席ばかりが目立った。

 男子走り幅跳びの第一人者、山本篤選手(新日本住設)は「東京パラは残念ながら無観客。たくさんの方にパラアスリートのすごさを見てもらいたい」と、組織委が目標とする1日1万人の達成に向けて観戦を呼びかける。

 また、大会理念の具体化も図るべく、今年5月ごろから順次、神戸市内でパラスポーツとレゾナンス(共鳴)を掛け合わせた応募型プログラム「パラレゾ」を開始した。学校に視覚障害者のガイドランナーを派遣したり、兵庫ゆかりのパラアスリートが地域団体で講師を務めたりして、健常者と障害者の壁をなくす「インクルーシブな社会」につなげる。

 パラレゾは閉幕後も約1年続ける計画。組織委は「特に子どもたちへの教育効果を意識している。地道に理解を深めていきたい」とし、大会を成功させることで社会意識の変革に導きたい考えだ。

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