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緊急事態宣言が発令され、人通りがほとんどなくなった繁華街=2021年2月、神戸市中央区
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緊急事態宣言が発令され、人通りがほとんどなくなった繁華街=2021年2月、神戸市中央区
甲子園の名物だったジェット風船。声援が解禁された後も復活の兆しはない=兵庫県西宮市、甲子園球場
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甲子園の名物だったジェット風船。声援が解禁された後も復活の兆しはない=兵庫県西宮市、甲子園球場

 長く続いた新型コロナウイルス禍ではさまざまな局面で感染対策が取られ、暮らし方、働き方、人との接し方が大きく変化した。神戸新聞社の双方向型報道「スクープラボ」で、コロナ禍で消えた「当たり前」を尋ねたところ、飲み会や大規模な冠婚葬祭、マスクのない生活、スーパーの試食などが挙げられた。「5類」に移行後、これらは復活するのか、それとも、このまま「コロナ後」に埋もれていくのか-。

 アンケートは5月11~13日に無料通信アプリ「LINE(ライン)」で実施し、332人から回答を得た。

 コロナ禍で消えた習慣などを尋ねた質問で、最も回答が多かったのは、忘年会や新年会といった飲み会。「大切な人との出会いや別れ」(姫路市、70代男性)と意義を強調する人がいる一方、「復活してほしくないのが本音」(神戸市東灘区、60代女性)、「無理に参加しなくて良いと学習した」(同、50代男性)など、宴席の減少を歓迎する声も目立った。

 「飲み会」などと答えた人の51%が「復活するとは思わない」と回答。残りの49%が「いずれ復活すると思う」とした。

 コロナで消えたものとして、他には、カラオケ▽地域の祭り▽ハグやハイタッチ▽茶道の回し飲み-などが挙がった。5類移行後も、人々の飛沫や接触に対する衛生意識、感覚が敏感なままの傾向が浮き彫りになった。

 甲子園球場(西宮市)でのプロ野球阪神タイガースの試合で応援の名物になっている「ジェット風船」を挙げた50代女性は「唾液が降ってくるようなもん」とし、同じ皿の料理を分け合って食べることを挙げた40代女性は「不衛生だと思ってしまった」と指摘。衛生意識が一変し、以前は抵抗がなかった場面にも抵抗を感じる心理がうかがえた。

 「海外旅行へ行きたいという気持ち」(神戸市中央区、60代女性)、「大浴場は行きたくない」(同市北区、40代女性)などの声もあった。

 「コロナ禍が人々の生活様式や慣習に与えた変化は、今後どのようになっていくと思うか」という問いには、64%が「一部は元に戻らない」と答え、20%が「多くは元に戻らない」、10%が「いずれ元に戻っていく」と答えた。(名倉あかり)

     ◇

■寄せられた声に共感、そして切なく

 「昔はマスクの着用が失礼とされていたのに、今はしていないほうが怒られてしまいます」。そんな神戸市職員との会話をきっかけに、新型コロナウイルス禍で消えた当たり前が他にもたくさんあるのではないかと思い、アンケートを企画した。

 地元の祭りで小麦粉の中にあるあめ玉を口で探したり、飲み物の「間接キス」でドキドキしたり。記者(27)にとっての青春の一ページが今はなくなりつつあることにはっとした。

 寄せられたみなさんの声に「うんうん」と共感しつつ、あいさつやお裾分けなど、ささやかなコミュニケーションをためらわざるを得ない現状に少し切なくなった。

 一方でコロナ禍では、オンライン化や非接触化が進み、生活がより便利になった側面もある。だからこそ気付いた日々の喜びや、会えなくても途切れることのない人と人とのつながりを大切にしたい。(名倉あかり)

     ◇

 神戸新聞社は、読者の投稿や情報提供を基に取材を進める双方向型報道「スクープラボ」に取り組んでいます。身近な疑問や困りごとから、自治体や企業の不正告発まで、あなたの「調べてほしい」ことをお寄せください。LINEで友だち登録(無料)するか、ツイッターのダイレクトメッセージで投稿できます。皆さんと一緒に「スクープ」を生み出す場。ご参加をお待ちしています。

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