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「聖天通劇場」の前に立つ永井秀樹さん=5月、大阪市福島区
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「聖天通劇場」の前に立つ永井秀樹さん=5月、大阪市福島区
「聖天通劇場」の客席=大阪市福島区
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「聖天通劇場」の客席=大阪市福島区

 高層ビルが立ち並ぶJR大阪駅から一駅。大阪市福島区の福島駅周辺は飲食店が軒を連ね、生活感があふれる。駅前の福島聖天通(しょうてんどおり)商店街に3月、「聖天通劇場」がオープンした。支配人は劇団青年団(兵庫県豊岡市)の俳優永井秀樹さん(57)で「日常と地続きにありながら異空間を感じられる、不思議な場所になったらうれしい」と語る。

 福島区出身の永井さんが演劇の道を志したのは高校生の頃。友人の勧めで見た、劇団東京乾電池などの舞台に感化された。東京の大学に進み結成した劇団で活動した後、日常を描く「静かな演劇」に魅了され、平田オリザさんが主宰の青年団に1992年に加入した。

 2020年に実家の不動産業を継ぐことになり、廃ビルが放置されていた土地に劇場を建てると決めた。「その場の勢い。崇高な目的はないです」。三角屋根を冠した木造の2階建ては、町の雰囲気に溶け込む。内装は黒を基調にし、ステージは約5メートル四方で、観客の定員は30人ほど。「超小劇場」と苦笑する。

 それでも長年の舞台経験から、設備にこだわりを見せる。天井が低いと演出が制限され、観客も圧迫感があることから、約4メートルの高さを確保。上階の楽屋は分割せず広々とした空間にした。階段を下りて芝居に臨む出演者が、快適な時間を過ごせるようにと考えた。

 3月のこけら落としは青年団の作品の他、柳家喬太郎さんの落語会などで構成。本格的に稼働する7月は、劇団カムカムミニキーナの公演などを予定する。劇場のコンセプトを定めてプログラムを組むような手法は採らず、常に何かをしていて、気が向いたときに非日常を味わってもらえるようにしたいと話す。

 目標の一つは、地元の人たちによる演劇を定期的に上演すること。対話が必要な舞台制作は参加者の経験にもなるが、何より伝えたいのは芝居の面白さ。「日常生活も演じている面はあり、演技は誰でもできる。祭りのように開催して、別の人たちが作る次の公演を楽しみに感じてもらえたら、すごいと思います」

【福島聖天通商店街】JR福島駅から寺院「福島聖天了徳院」まで東西約330メートルの商店街。振興組合には飲食店を中心に約100店が加入する。参詣道として古くから発展し、戦前には現在の「天神橋筋商店街」などと並び、大阪の四大商店街とされたとの説も。占い師にゆかりがあるとして「売れても占い商店街」をキャッチコピーに、にぎわい創出に取り組む。

但馬
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