J1神戸への加入が正式に決まったスペイン代表MFアンドレス・イニエスタ選手(34)。同国の世界的名門バルセロナの「象徴」とされるスーパースターだが、華麗なパスで味方を生かす存在だけに、そのボールを受けて得点を量産するFWリオネル・メッシ選手(30)のように脚光を浴びることは少ない。そのため、ツイッター上では来日の衝撃を分かりやすく例える投稿が相次いでいる。
イニエスタ選手は12歳でバルセロナの育成組織に入り、2002年にトップチームで初出場。171センチと小柄ながら、抜群の足技で密集でもボールを失わず、瞬時の判断で長短のパスを送り、味方のゴールを演出する。欧州一を決めるチャンピオンズリーグを4回制するなど計32冠の獲得に貢献。代表では10年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で母国を初優勝に導く決勝点を奪い、6月14日開幕のロシア大会でも中心選手として頂点を狙う。
サッカー界を代表する大物だが、日本メディアで取り上げられるのはメッシ選手のような点取り屋が中心で、イニエスタ選手は地味な印象がある。11年に来日した際、地下鉄で乗客に気付かれないまま記念撮影した画像も話題となった。
J1神戸入りの可能性が報じられて以降、来日のインパクトの大きさを伝えようと、ツイッター上ではサッカーファンらが政治家や歴史上の偉人を用いた例え話で盛り上がっている。
「安倍内閣にオバマ氏の入閣」
「運動会の保護者競技のリレーにウサインボルト」
「うちのゼミ(日本文学専攻)に来週から紫式部が来るレベル?」
歓迎ムードの日本に対し、送り出す側のスペインではファンが別れを惜しんでいる。イニエスタ選手はバルセロナ一筋22年。20日のリーグ最終節には約8万4千人もの観衆が本拠地に集まり、試合後の退団セレモニーでは、涙ぐみながらあいさつする同選手を見守った。
自身の背番号「8」のユニホームを着た仲間たちに胴上げされ、ピッチを去ったイニエスタ選手。1万キロ以上離れた神戸の地で、サッカー人生の第二章が幕を開ける。(有島弘記)