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チューブラーの製造で使われる専用ミシン=パナレーサー
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チューブラーの製造で使われる専用ミシン=パナレーサー
パナレーサー製のタイヤで東京五輪に臨んだ増田成幸選手
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パナレーサー製のタイヤで東京五輪に臨んだ増田成幸選手
パナレーサー製のタイヤで東京五輪に臨んだ増田成幸選手
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パナレーサー製のタイヤで東京五輪に臨んだ増田成幸選手
工場内をリフトで運ばれるゴム=パナレーサー
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工場内をリフトで運ばれるゴム=パナレーサー
東京オリンピックの自転車競技に出場した増田成幸さんのタイヤを作った榊敏耶さん=パナレーサー
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東京オリンピックの自転車競技に出場した増田成幸さんのタイヤを作った榊敏耶さん=パナレーサー

 「乗り心地、耐久性、軽量化を兼ね備えたタイヤで、東京五輪に挑みたい」。自転車男子個人ロードレースの第一人者・増田成幸選手(37)側からの要望は、多岐にわたった。

 自転車用タイヤなどを製造するパナレーサー(兵庫県丹波市氷上町石生)が下した決断の一つは「タイヤ幅を狭める」こと。「納期まで約半年。限られた時間の中、焦りはありました」。担当者の一人榊敏耶さん(36)が、同社の「チューブラー」製造室で、こう打ち明けてくれた。

 その部屋では、女性従業員が専用ミシンで、チューブを包み込んだ布地のような部材を軽快に縫い合わせていた。プロ選手向けのタイヤを専門に製造する、同社の中枢部門の一つだ。

 一般タイヤの製造工程は、大きく分けて四つ。「秘密の配合」でゴムなどを混ぜ合わせ、パーツに加工。それらを組み合わせた後、熱と圧力を加えて溝などをつくり、検品を経て市場に出る。

 その工程に一手間加えるのが「チューブラー」だ。一般のタイヤはチューブと別々になっているが、チューブラーはタイヤとチューブが一体化しているのが特徴。「独自の技術が必要なんです。ミリ単位の勝負です」と、榊さん。

 増田選手のタイヤはゴム幅を狭めたため、「企業秘密」の製法で、タイヤとチューブを組み合わせるのが、さらに困難になる。許される誤差は、ミリ単位以下。榊さんを中心に何度も微調整を重ね、完成にこぎ着けた。

 通常、プロ使用のタイヤは部材を一部変更するだけでも対応に2、3カ月かかる。増田選手の場合、代表決定前からゴムなどの素材選定を進め、全部署が最優先で製造に当たった。

 それを可能にしたのが、社内の風通しのよさ。従業員が各部門を行き来し、情報交換することで、製品の細かい変化や注文に対応できた。大和竜一社長(56)は「一つの工場で、全ての工程を担っているからこそです」と話す。

 東京五輪開幕翌日の7月24日。増田選手は東京・武蔵野の森公園のスタートラインに立った。途中棄権が相次ぐ中、1都3県を横断する約244キロの過酷なコースを、6時間25分16秒で完走した。(真鍋 愛)

■納期が迫る中で微調整繰り返す チューブラー主任・榊敏耶さん

 増田成幸選手使用のタイヤ製造のため、パナレーサーはプロジェクトチームを立ち上げた。その中核を担ったのが、チューブラー主任の榊敏耶さん。ベテラン従業員らの手を借りながら、部品の縫製から検品まで、一連の作業を担当した。

 高い技術が求められるチューブラー製造。納期が迫る中、「作っては微調整」を繰り返した。メンバーらが、田んぼの脇道を試走。課題などを洗い出し、対策を練った。「夢に出てくるほど、頭はタイヤでいっぱい」だった。

 納品を終えても、心配は尽きなかった。増田選手のレースは自宅で見守った。完走した姿を見て、ようやく人心地がついた。同時に、喜びがこみ上げてきた。

【パナレーサー】松下電器産業(現パナソニック)の子会社「ナショナルタイヤ」として、1952年創業。2015年、パナレーサーに社名変更し、パナソニックグループから離脱。自転車用タイヤ、チューブの国内専業メーカーは同社のみ。従業員数約120人。

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