丹波

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稲刈りの終わった田を見渡す赤井一三さん。「体の動くうちは、ほそぼそとでも農業を続けたいと思っている高齢者は多い」と話す=丹波市氷上町新郷
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稲刈りの終わった田を見渡す赤井一三さん。「体の動くうちは、ほそぼそとでも農業を続けたいと思っている高齢者は多い」と話す=丹波市氷上町新郷
小田垣商店が和菓子店に提案し、発売されたこしあんの新商品=丹波篠山市立町
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小田垣商店が和菓子店に提案し、発売されたこしあんの新商品=丹波篠山市立町
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 稲刈り後の株に生えた「ひこばえ」がそよそよと揺れる田を見渡し、兵庫県丹波市の農業、赤井一三(かずみ)さん(82)がつぶやいた。「コメ作りほど、ばかばかしいことはない」。先祖代々の農地。愛情を込めて守ってきたが、来年から一部を他の担い手に託すつもりだ。(藤森恵一郎)

 米価下落が地域の高齢農家に致命傷を負わせている。人口減や食生活の多様化で消費が減る中、コロナ禍による外食需要の落ち込みが追い打ちをかけた。食味の良さから引き合いの多い丹波地域のコメ農家も例外ではない。JAグループがコメを集荷する際に農家に前払いする概算金(仮渡し金)は、2019年にはコシヒカリ(1等)30キロ当たり、JA丹波ささやまで7300円、JA丹波ひかみで7千円だった。ことしは6千円、5600円と、約2割減。概算金はコメの卸価格を左右する。

 高校教師を定年退職後、本格的に農業に携わってきた赤井さん。近年は持病を抱えながらも「もう1年、もう1年」と踏ん張ってきたが、コメの収入激減に「弱っているところに、だめ押しになった」とさみしげに話す。

    ◇    ◇

 農家の高齢化に伴い増加する耕作放棄地の解消に向け、政府は農地の集約化に力を入れる。丹波地域でもコメの作付け農家の数は右肩下がりだが、集約化で作付面積の大幅な減少はなんとか免れている。

 ただ、受け皿となる担い手は不足している。コメや小豆などを生産する丹波市春日町黒井の認定農業者、なかで農場合同会社の中出靖大(やすひろ)さん(42)の元にも「田んぼを預かってほしい」と高齢農家から声が掛かる。12年の就農時8ヘクタールだった農地は、今ではほぼ倍増した。「そもそもミドル(35~54歳)の農業者は絶対数が少ない。担うと言っても限界がある」と指摘する。

 「認定農業者は一握り。ほとんどの農家は、おじいちゃんやおばあちゃんが小規模でやっている。そんな人たちや若い兼業農家を支える政策がもっと必要」

    ◇    ◇

 丹波地域が誇る小豆の高級品種「丹波大納言小豆」も昨年来、コロナ禍で打撃を受けている。全国の小豆収穫量のうち、わずか約1%という希少品種。大粒で風味豊か、煮崩れしにくいため、主に贈答用和菓子のつぶあんに重宝される。しかし、帰省や出張の自粛で手土産需要が減っている。収穫シーズンを控え、生産者からは「価格が下がるのでは」「ちゃんと買ってもらえるのか」と不安の声が漏れる。

 全国の百貨店や菓子店などに丹波大納言小豆を卸している小田垣商店(同県丹波篠山市立町)の取締役小田垣武さん(39)は「一昨年に比べ、需要は半減以上」と明かす。在庫は増えているが、「卸価格を下げると、生産者にしわ寄せがいく」と値下げには否定的で、相場の安定化に努める。

 販路の開拓や拡大のため、さまざまな工夫も凝らす。その一つが、皮の硬さなどで規格外になった小豆の有効利用だ。大津市の和菓子店に提案し、こしあんの新商品を共同開発した。「逆境を逆手に取り、丹波大納言小豆の魅力を伝えたい。生産者にはこれからも自信を持って作ってもらえれば」と呼び掛ける。

 長引くコロナ禍。丹波地域ではブランド農産物を守ろうと、さまざまな人たちの試行錯誤が続いている。

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