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 私が所長を務めるiPS細胞研究所(CiRA=サイラ)では、年に1回、一般の方を対象とするシンポジウムを主催し、研究の進(しん)捗(ちょく)状況を報告しています。先日も神戸で開催しました。難病の患者さんも参加しておられ、私たちの話に熱心に耳を傾けてくださっていました。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発してから、患者さんからご自身が辛(つら)いご状態であるにもかかわらず、「お体に気をつけてください」と逆に研究者を気遣う言葉をかけていただくことがあるのですが、そのたびに胸が熱くなります。

 CiRAは、安定的に研究者や研究支援者を雇用し、息の長い研究を進めていくために「iPS細胞研究基金」を設置し、広く寄付を募っており、これまで大勢の方々にご支援いただいております。昨年、初めて寄付者への感謝の集いを催し、北海道から鹿児島まで約100人が参加されました。CiRAの研究者も寄付してくださった方々と直接交流する貴重な機会を持ち、iPS細胞技術の実用化への期待の大きさをひしひしと感じていました。

 また、ノーベル賞受賞発表以後、研究所に送られる手紙やメールの数が格段に増えました。寄せられるメッセージの多くには、患者さんやそのご家族の苦しい状況と医療応用の早期実現への切実な希望が綴(つづ)られています。スタッフと協力してできるだけ早く返信しようとは思うのですが、遅れており大変申し訳なく思っています。

 研究者にとって、一般の方々に研究について話し、その声に耳を傾ける機会を持つことは大切な仕事の一つだと思っています。iPS細胞のような新技術が社会に受け入れられ、実用化されるには人々の理解や支援が不可欠だからです。そして研究を頑張り続ける大きな励みにもなります。このような活動を、今後も続けていきたいと思います。

(山中 伸弥=京大iPS細胞研究所所長・教授)

2013/2/5
 

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