あなたの声とイイミミ半世紀
イイミミでは1人の投稿に大勢が反応し、自然に盛り上がっていくことがある。「ゆず茶はどうやって作るのかな」「まず輪切りにして、それから…」-。投稿者も読者も、紙面を通して井戸端会議を楽しんでいるような気持ちになれる。
最近では「雨がピリピリ」の話題が反響を呼んだ。雨の降り始めを指す丹波地方の言い回しで、加古川や高砂の人から次々と「こっちでも言ってました」との声。神戸に暮らす丹波出身者は「懐かしい」との感想を寄せ、イイミミ担当者を「ここまで盛り上がるとは」と驚かせた。
最初に提供した山本秀美さん(67)を丹波篠山市に訪ねた。反響について「うれしいですね。友だちが広がるような感じで」と笑う。
投稿を始めたのは2年前、会社を定年退職したのがきっかけ。「それまでは新聞をじっくり読む時間がなかった」
初掲載は、全国高校軟式野球大会を観戦するため明石トーカロ球場を訪れたときの話。出場校のマネジャーらしい女子生徒が、チームと無関係の山本さんにも笑顔でお茶を配る気遣いに感動した。ほかにも相撲や野球にまつわる和やかな話題を投稿してきた。
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イイミミはファクスでも受け付けており、山本さんはもっぱらファクス派。いいネタを見つけたら、さっと書いて送る。「思いついたら気軽に書けるのが、イイミミのいいところ。かつて、ラジオの深夜放送にはがきで投稿していた楽しさがよみがえります」
投稿は手書きで-と決めている。「ネットでのコミュニケーションが当たり前の今は、手書きでやりとりする相手がいない。友だちとは手紙を書くよりしゃべりますし」
動画投稿サイト「ユーチューブ」で、若いころに感動した曲や、現在人気の東京大衆歌謡楽団を検索、視聴するのが最近の楽しみの一つ。アナログとデジタル、それぞれの良さを味わう。「イイミミって、笑いあり涙ありの人情劇場みたいなコーナー。これからも話題があれば投稿させてもらいます」(溝田幸弘)
〈山本秀美さん 2020年10月5日の投稿〉
◆雨がピリピリでした
テレビの天気予報士さんが、丹波地方には天気の独特な表現方法があると紹介していました。私は、雨が少し降り出してきたとき、子どものころからなぜか「ピリピリ」です。大阪育ちの嫁に聞くと「パラパラに決まってるやん」で、えっ!?です。雨が少し降ってきたとき、パラパラ? ポツポツ? ピリピリ?(丹波篠山、勤め、男、67)
2021/2/27









