【コーチ助言に一喜一憂】
ようやく危機感を持ち始めた記者が泣きついたのは、アシックスランニングクラブの島田佳久コーチ(52)。初心者がゴールにたどり着くために必要なことを聞いた。
「残された時間でできることは限られています」と、開口一番に先制パンチ。
ぐぐ…予想していたとはいえ、やはり厳しい。
10月中にやっておくべきなのは、自分のペースで2時間走り続けてみて、動ける距離と速さを確かめることだという。「初心者にとっては、その2時間を3回繰り返したのが本番」と島田さん。なるほど、なるほど。
おなかのすき具合や、ウエアですれて痛いところはないか、などもチェック。男性では乳首がすれてウエアに血がにじむなんて事態もあるらしい。本番までにストレス要因をできるだけ取り除くことが大切だ。
「私、運動音痴なんですけど、大丈夫ですか」。一番聞きたかった質問をぶつけると「完走するのに素質はいりません」と即答を得た。おっ 初めて目の前が明るくなる言葉!
島田さんによると、昔運動をしていた人ほど、自分の力を過信してスピードを出しすぎる傾向にあるそう。運動経験の無い人は「速くなくて当たり前」と思い、ゆっくり走る。レースの初め、高揚感で速くなりがちなのを、ぐっとこらえて自分をマネジメントできる人は強いという。
また島田さんは「完走するだけならそんなに難しくない」と話す。にわかには信じがたいが…。
神戸マラソンの制限時間は7時間。計算上、10キロ走れば、残りをはや歩きで進んでも間に合う。実際、5時間を超えてゴールする人には途中で歩いているケースが多いという。
足や体が壊れなければゴールにはたどり着ける。練習はそのための体づくりなのだ。
「初マラソンは鮮明に印象に残るもの。体がぼろぼろになっては苦しいだけ。楽しい記憶にできるよう、しっかり練習してね」
やんわりくぎを刺すのを忘れないコーチ。さすがです。(小尾絵生)
【完走への心得】
□ストレス要因を除いて本番に臨むべし
□他人と比べず、自分のペースで走るべし
□走り込みは本番2週間前まででやめるべし