23日に迫った第4回神戸マラソン(神戸新聞社共催)を、心待ちにしているフィリピンの子どもたちがいる。30年にわたって同国で学校運営などの支援に携わる中島昭光さん(74)=神戸市兵庫区新開地=が、現地で阪神・淡路大震災からの復興とマラソンのにぎわいを語るうち、応援するようになった。中島さんは「子どもたちの声援がランナーに届いてほしい」と願う。
川崎重工業に勤めていた中島さんは1983年、技術指導で訪れたフィリピンで市民の貧富の差を目の当たりにして支援活動を始めた。生活用品や学用品を配り、2002年には退職金などを使って、少人数教育の幼稚園と小学校をマニラに開設。100人弱の子どもたちの学びやとなっている。
中島さんは、3年前の第1回神戸マラソンから沿道で声援を送っている。以来、配布される新聞号外や応援用のメガホンを持ってフィリピンを訪れ、子どもたちに手渡すようになった。マラソンの盛り上がりを紹介すると、子どもたちは目を輝かせ、「いつか神戸マラソンを見たい」と口々に言うという。
今年9月、中島さんが現地で撮った写真には、子どもたちが新聞号外や応援グッズを手に笑顔を見せ、「Cheer up!(頑張れ!)」などとランナーへのエールを込めた紙を掲げた姿が映っている。
子どもたちの中には、昨年11月、同国に大きな被害をもたらした台風で被災した子もいるという。中島さんは「神戸の復興は現地で奇跡的な偉業として捉えられている。遠いフィリピンからの声援も知ってほしい」と話している。
(金 旻革)