学生入居 団地に活気

明石海峡を臨む団地の一角。買い物帰りの住民女性と女子大生が立ち話をしている。「さっき、道端で野菜を売ってたんよ」「あ、私も朝見ました!」。祖母と孫ほど年は離れているが、共通の話題で会話が弾む。
明石市と神戸市垂水区にまたがる「明石舞子団地(明舞(めいまい)団地)」。1964年のまち開きから半世紀以上がたち、65歳以上の住民は昨年3月時点で、約4割になっている。今や“オールドニュータウン”とも呼ばれる。
高齢化が進む中、活気を取り戻そうと、地元住民は若者の誘致を県に要望。県が再生計画にその声を盛り込むことで入居条件の緩和が国から認められ、4年前から学生も住めるようになった。
現在、団地内で生活しているのは、大学生と大学院生の計7人。自治会の集まりのほか、パソコン教室やふれあい喫茶などにも顔を出し、住民と親睦を深めている。20年住んでいる松本ヤクエさん(78)は、「皆優しいので話していると元気が出る」と話す。
開始時は2校のみだった参加校も、その後、部屋の内覧希望者を含めると5校に増加。今春入居予定の学生は地域のつながりに関心を見せ、「ここのコミュニティーの一員になりたい」と意気込む。
若者の定住という先進的な取り組みにより、県内外からの視察が相次ぐ。学生6人が住む明舞南県住自治会の小高平(こたか ひとし)会長(79)は「例会でも活発に意見が出るようになった。行政、大学と連携を深め再生を進めたい」と話していた。(映像写真部 風斗雅博