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高齢者6割の復興住宅 寄り添いの精神脈々と

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 「阪神・淡路大震災20年」の節目を刻んだ年が暮れようとしている。神戸市須磨区の復興住宅「市営新大池東住宅」では高齢者支援の取り組みが活発だ。震災直後から被災者支援に奔走し、昨年9月に73歳で亡くなった看護師黒田裕子(ひろこ)さんの遺志が、しっかりと受け継がれている。

 黒田さんが理事長を務めたNPO法人を改組した団体「阪神高齢者・障がい者支援ネットワーク」は、今春から有志10人で活動。週3回のお茶会で住民同士の交流を促し、閉じこもり防止や異変の早期発見など“目配り”に力を入れる。

 全住民277人の約6割が65歳以上。体調に不安を抱える人は少なくない。近くに身寄りの少ない人の心細さはなおさらだ。同ネットの宇都幸子代表(71)は住民が安心して長く暮らせるよう、行政や福祉・医療機関との連携を模索する。

 そんなムードが呼び水となり、5月には住民らが見回り組織「友愛グループひまわり」を結成。孤立しがちな独居高齢者を戸別訪問するなど、約50世帯の安否を気遣う。村川正徳代表(71)は「黒田さんに『一緒に見回りをしよう』と声を掛けられた」と懐かしむ。

 現場主義を貫き、一人一人に寄り添い続けた黒田さん。その熱意が今なお、レンズの向こうから迫ってくるような気がした。(映像写真部 大森 武)

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