広がる「地域猫活動」 ニャンとか仲間入り

野良猫をこれ以上増やさないよう住民が世話をする「地域猫活動」。兵庫県内で初めて神戸市が助成事業を始めて10年がたった。地域のつながりを深めながら、動物との共生を目指す活動は、市内外に広がりを見せている。
ふん尿や鳴き声など、飼い主を失った猫の存在は、ご近所トラブルの原因になりがち。地域猫活動は、排除せず、繁殖を抑えるための取り組みだ。基本的な流れは順に、「捕獲」「不妊・去勢手術」「元の場所に戻す」-。三つの英語の頭文字から「TNR」とも呼ばれる。
神戸市はこれまでに、自治会やボランティアなど約100団体に対し、不妊・去勢手術の費用の一部などを助成。尼崎、西宮、明石市などでも事業化されている。
各地で活動が広がる中、5年前に神戸市内の有志で旗揚げしたNPO法人「神戸猫ネット」(杉野千恵子理事長)は、市内外で地域猫活動に取り組む個人や団体との相互協力や連携を進めている。
これまでに千匹以上のTNRに携わる一方で、100匹以上を新たな飼い主に橋渡し。同ネット副理事長の高野稔さん(68)が暮らす同市須磨区の板宿地区では、ここ3年で地域に40匹以上いた野良猫が半減したという。
一定の成果が見られる一方で、活動に理解を得られていない地域も少なくない。虐待も根強くある。県動物愛護センター(尼崎市)の三谷雅夫副所長(55)は「地域猫は持続的な活動なので、地域ぐるみの協力が必要。活動の理解が進むよう、地道な啓発運動も欠かせない」と話している。(映像写真部 後藤亮平)