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更生への取り組み 薬物絶つ その日まで

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 「嫌なことは薬を使って消していた」-。

 京都府木津川市の「木津川ダルク」。テーブルを囲んだ“仲間”の前で、京都府の男性(36)がたどたどしく打ち明けた。母子家庭で育ち、友人の誘いに乗って薬に溺れた。今でも夢の中で手を伸ばしそうになっている自分と闘っている。

 「ダルク」とは英語で「薬物依存症回復施設」の略称。同施設では現在、大麻や覚せい剤などの使用歴がある男性8人が、寝食を共にしながら再起を目指している。

 昼夜のミーティングで互いの思いや近況を語り合う。口々に語られる過去はどれもつらく、重い。告白の数々に触れ、癒やしの時間が静かに流れる。性格や生い立ちはさまざまだが、人生をやり直そうとする思いは皆同じだ。先の男性は言う。「メンバーは自分自身を見つめ直す鏡。心の支えです」

 同施設のように、依存者の孤立を防ぐ取り組みの一方で、薬物依存が精神疾患の病気と知り、治療を受けて回復を目指す人が増えつつある。薬物事犯者に対し刑期の一部を猶予する制度も6月までに導入され、実社会の中で更生の道を探る人が多くなる。

 だが、受け皿は十分とは言い難い。薬物依存者の治療にあたる垂水病院(神戸市)の麻生克郎副院長(63)は「心身の治療と社会でのリハビリの両面を充実させていく必要がある」と話す。

(映像写真部 風斗雅博)

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