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タグボート 港の安全支えて半世紀

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 重厚なエンジン音と振動が船内に響く。神戸港に出入りする客船や貨物船を“エスコート”する「早雄丸(そうゆうまる)」。199トンと船体は小柄ながら、高級スポーツカー約6台分の3600馬力を誇る。

 来年1月1日に開港150年を迎える神戸港。戦後の高度成長期以降、世界から荷物や人を運んでくる大型船の安全な離着岸を、こうしたタグボートが支えてきた。「協同組合神戸タグ協会」(神戸市中央区)が1966年に発足して半世紀。港の歴史の3分の1をともに歩んできた。

 神戸港が最もにぎわったのは、神戸ポートアイランド博覧会(ポートピア’81)のころ。コンテナの取扱量などが増え続け、82年には民間8社38隻、神戸市所有2隻の計40隻のタグボートが目まぐるしく港内を行き来した。

 港湾設備に壊滅的な打撃を受けた阪神・淡路大震災、中国や韓国との競争激化などの影響で、神戸港の世界的な地位が低下。現在活躍するタグボートは8社17隻まで減った。それでも、大型船を船首で押したり、ロープをつないで引っ張ったりする姿は、ミナト神戸に欠かせない風景だ。

 不遇の時代を抜け、コンテナ量や入港する客船数が増えるなど、神戸港に復権の兆しが見える。早雄丸の下岸健吾船長(34)は「濃霧や突風など不測の事態が常に頭にある」。これからも港の平穏を守る強い決意を感じた。

(映像写真部 笠原次郎)

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【今撮】タグボート〈出港編〉

【今撮】タグボート〈入港編〉

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