日本最大のクレーン船 海の力持ち4100トン高々と

平たい船の上に、高層ビルほど高い“鉄塔”がそびえる。神戸港周辺の海上で時折見かける、巨大な作業船。その正体は、日本最大のクレーン船「海翔(かいしょう)」だ。東播磨港を拠点に、国内外で30年活躍している。
所有する寄神(よりがみ)建設(神戸市兵庫区)によると、クレーンは高さ約120メートルまで、最大4100トンの物体をつり上げることができる。風や波の影響を受けても、作業はミリ単位の正確さという。
これまで明石海峡大橋や神戸空港連絡橋の架橋工事などに携わってきた。阪神・淡路大震災直後には、倒壊したコンテナクレーンの撤去で復旧に貢献した。
船内は、社員寮のような雰囲気。工事現場によっては1、2カ月滞在することがあり、食堂や風呂、個室もそろっている。長田(おさだ)逸雄船長(55)は「共同生活で乗組員の絆が強まる。どんな作業でもやり遂げる自信がある」と胸を張る。
夏の炎天下、赤銅色に焼けた男たちが黙々と作業を続ける。「地図に残る仕事をしている。そう思うとやる気が湧いてくるんです」と乗組員の男性(40)。止めどない汗が頬を伝い落ち、灼熱(しゃくねつ)の甲板に跳ねた。(斎藤雅志)