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熊本地震2年 復興最後の一人まで

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 熊本地震から2年を迎えた4月の日曜。震度7の揺れで壊滅的な被害が出た熊本県西原村・古閑(こが)地区の広場に、約60人が集まっていた。住民がボランティアらを招いて開いた感謝祭。同地区の支援を続けてきた被災地NGO恊働センター(神戸市兵庫区)の鈴木隆太さん(42)らもその輪の中にいた。

 同地区では28世帯のうち、ほとんどの家屋が全半壊。多くの住民が地区外の仮設住宅などに身を寄せた。どのように暮らしを取り戻すのか。みんなが納得して復興へ進めるよう、鈴木さんらは世帯ごとの意向を聞き取り、思いの共有を図ってきた。

 住民間の温度差や意見の衝突もあった。同地区の復興委員長、竹口幸宏さん(59)は「私が言えば一方向からの意見に引っ張り込んでしまうところを、第三者としてよく取りまとめてくれた」と振り返る。

 感謝祭では、同センターの橋渡しで他の被災地を視察した住民らの報告会もあった。発表に立った3組が共通して語ったのは、古閑地区の良さ。特に高本祐史さん(29)ら若手が発した「自分たちがどぎゃんかせんといかん」との思いは力強く響いた。正午に始まったうたげは日が暮れても続いた。

 2年という年月は、復興の地域差を鮮明にしつつあると、鈴木さんは感じている。古閑地区と並行して支援を続ける葛目(かずらめ)地区は地震前の10世帯から5世帯に半減。いずれも高齢世帯で若者はいない。「地震後、寂しいと思うことに慣れてしまった」という桂正子さん(87)の言葉が鈴木さんの胸を締め付ける。

 同センターのモットーは「最後の一人まで」。道のりは続く。(映像写真部 吉田敦史)

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