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外国人技能実習生

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 額に光る汗、油まみれの手、真剣なまなざし-。加古川市内の自動車整備工場で、ベトナム人のチャン・ダイ・タンさん(24)が力を込めた。「車内の掃除やヘッドライト磨きなど、ベトナムの整備士がやらないことも丁寧にやっていて勉強になる。帰国したら、この経験を生かしたい」

 海外から来日し、第1次産業や製造業などの現場で働きながら技術を習得する外国人技能実習生。法務省によると、2017年末時点で全国で約27万4千人(前年比約4万6千人増)、兵庫県では前年比約2割増の8741人に上り、国内の人手不足を背景に急増している。ベトナムを筆頭に中国、フィリピンなどから多くの研修生が、希望を胸に日本の地を踏んでいる。

 県内外の金属加工業者など約180社でつくる「阪神金属協同組合」(神戸市中央区)は、加盟企業が受け入れた来日直後の若者をサポートする。実習生は組合の寮で1カ月生活しながら日本語や生活習慣を学び、自治会の清掃活動にも参加。実習先で良好な人間関係を築き、充実した日々を送ってもらうのが目的だ。

 こうした支援の一方、技能実習制度を巡るトラブルも指摘される。習得技術を新興国の経済発展に役立ててもらおうと1993年にできた制度だが、違法な長時間労働や賃金不払いなどの事例から「安価な労働力になっている」との批判も。東北の建設会社が実習計画にない除染作業に従事させていた問題も発覚した。

 国も対策に乗り出した。昨秋施行の技能実習適正化法には、実習生への人権侵害行為に罰則が盛り込まれ、監督機関が新設された。

 「うちの実習生はみんな人柄がよく仕事熱心。大切な仲間です」と河田鉄工所西神工場(同市西区)の河田信生常務(62)。異国の若者たちの熱意は、ものづくりの現場を活気づけてもいる。

 制度創設から四半世紀。その理念と現実のギャップを埋める取り組みが、街のあちこちで続く。(映像写真部・斎藤雅志)

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