写真集新着一覧

  • 印刷

マイクロプラスチック

ログインすると拡大表示できます:ログインする

写真集一覧に戻る

 海に流れ出たマイクロプラスチックが世界中で深刻な環境問題となっている。廃棄されたペットボトルやレジ袋などが紫外線や波によって砕かれ、5ミリ以下の微細なプラスチックとなる。魚介類の体内からも見つかっており、生態系への悪影響、ひいては人の健康を脅かす。

 8月のある日の午後、神戸商業高(神戸市垂水区)で理科研究部の部員らが、九州の海岸で拾い集めた木片を容器に入れて水を加えると、微小なごみが浮いてきた。マイクロプラスチックだ。ピンセットで取り除くと、1時間で約100個に及んだ。

 同部は5年前から、神戸の西舞子海岸をはじめ全国の海岸で漂着ごみを調査している。部員の西上一成さん(17)はマイクロプラスチック問題に対し「危機感は募るばかり。後輩にバトンをつなぎながら、継続して問題提起していく必要がある」と話す。

 経済協力開発機構(OECD)によると、世界でプラスチックごみの量は年々増加し、1980年に約5千万トンだったのが、2015年ではその6倍の3億トンを超えた。リサイクルや焼却処理が追い付かず埋め立てられたり、投棄されたりする量も多く、環境破壊の一因になっている。

 こうした中、世界的な「脱プラ」の動きが加速している。米スターバックスやマクドナルドがプラスチック製ストローを段階的に廃止していく方針を打ち出し、ANAクラウンプラザホテル神戸など多くの外資系ホテルは今夏から紙製ストローに切り替えた。

 快適な暮らしを支えるプラスチックだが、安易な依存やポイ捨てなど、使い方とモラルが問われている。

 神戸商高の部員の一人が今後の取り組みについてこう話した。「いずれは僕たちの活動が社会からなくなること。それがゴール」(映像写真部・中西大二)

グループ