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廃校舎活用 生まれ変わる学びや

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 全国で今、毎年約500の学校がその役目を終えている。一方で、廃校となる校舎を生まれ変わらせようとする取り組みに熱い視線が注がれている。地域の思いと子どもたちの思い出が詰まった学びやの現在を、兵庫県内各地に追った。

 文部科学省は本年度、「みんなの廃校」プロジェクトを本格的に始動。活用策を公募している全国350校をリストにし、これまでの成功例のほか、格安な賃料や利用方法ごとの国庫補助制度一覧など財務上のメリットも示した。廃校施設を所有する地方自治体と、活用したい企業や団体とを結びつけたい考えだ。

 淡路島北部、淡路市仁井にある旧仁井小学校。教室の主役は、ベトナムやインドネシアなど東南アジアからの留学生だ。日本語を学び、看護や介護の国家資格を取得するため、今年4月に開校した「日本グローバルアカデミー」には41人が在籍する。

 「漢字は本当に難しい。でも全然大変じゃない。先生も地域のおばあちゃんも助けてくれるから」。屈託のない笑顔で夢を語るのは、ベトナム・ダナン出身のカオ・ティー・ロクさん(20)。古民家に仲間と暮らし、近くの福祉施設でアルバイトをしながら、日本の大学で看護を学ぶため、少し小さな机と椅子が並ぶ教室で鉛筆を握る。

 改装した校舎は、地場産食材を提供するカフェ、芸術家の集うアトリエ、地元住民が働く工場、そして新たな学びの場に。多様な地域を抱える兵庫に、多彩な活用策が生まれつつある。新たな命を吹き込まれた学びやは、大切な記憶とともに再び光を放ち始めた。(映像写真部 大山伸一郎)

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