子ども食堂 ご飯、笑顔ぬくもりの輪

たそがれ時、学校から帰った小中学生や母親に連れられた幼子が続々と集まってくる。机で宿題を始める子、友達同士で遊ぶ子、大人にまとわりつく子。にぎやかな空間に、夕ご飯のにおいが漂い始めた。
子どもの孤食などを背景に、無料や低料金で食事を提供する目的でスタートした「子ども食堂」が各地で増えている。9月末の時点で兵庫県が把握している拠点は72カ所に上る。地域の居場所づくりや大学生による学習支援など、食事の提供のほかにさまざまな取り組みが広がっている。
赤穂市加里屋の「あこう子ども食堂」は市中心部の古民家で今年4月から月2回開かれ、訪れる子が増えたため、地域のコミュニティー施設に移った。
主宰する同市地域活動連絡協議会の岩崎由美子会長(52)は、どうすれば支援を必要とする子に来てもらえるか、悩んできた。生活が安定しない子の存在は学校関係者らから聞いていたが、当初はその子らに届かなかった。
「誰でも来られる楽しい場所に、と心がけ、いろんな境遇の子が誘い合って来てくれるようになってきた。まだまだこれから」と、岩崎さんは歩を進める。
運営には人の力が欠かせない。調理や配膳、子どもとの遊び、学習支援などを、地域の大人や学生らが有志で支える。農作物など食材を提供する人もいる。
おいしかった。楽しかった。そんな記憶を、少しでも多くつくってほしい-。大人たちは思いをひとつに子どもたちを見守っている。(映像写真部 吉田敦史、大森 武)