山口組分裂 抗争から市民守る(2016年)

国内最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)の分裂から約8カ月。離脱派の神戸山口組(本拠地・淡路市)も今月15日、指定暴力団となり、暴力団対策法の規制対象となった。「絶対に市民の巻き添えは出さない」。双方の弱体化へ、兵庫県警の取り締まりが続く。
昨年8月末の分裂以降、両団体が絡むトラブルは全国で70件超。県内でも3月、神戸・三宮の繁華街で組事務所にダンプカーが突入。神戸市須磨区の住宅地でも事務所が荒らされた。身近な場所で起きた衝突に、住民らは表情をこわばらせた。
両団体が本拠地を置く兵庫には、傘下団体を含む組事務所や県外の直系団体が設けた「別宅」と呼ばれる施設も多い。その数、約100カ所。幼稚園や学校、スーパーにほど近い建物もある。
県警は事務所周辺の学校に、通学路の変更や教員の付き添いによる集団登下校の実施など安全対策を要請。対象は神戸、姫路、尼崎市のほか、淡路、洲本、加古川、西脇市の約50校に広がる。
暴力団対策には住民による排除運動も欠かせない。4月、神戸市長田区の決起集会で母親らが声を張り上げた。
「子どもが安心して暮らせるよう、すぐに出て行って」