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(36)ゴールボール 2020年へ耳澄まして
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強化合宿で練習に励む選手たち。小さな鈴の音を頼りにゴムボールに飛びつく=神戸市北区、「しあわせの村」

 攻める選手が投球動作に入る。体育館の床にこすれる靴底。弾むゴムボール。かすかな鈴の音がその軌道を知らせる。アイシェード(目隠し)を着けた守備の選手たちは耳に意識を集中させ、身をていしてゴール前に壁をつくった。

 3人対3人で対戦し、鈴の入ったボールを相手ゴールへ放り込む「ゴールボール」。視覚障害のある人向けに考えられたスポーツで、バレーボールと同じ広さのコートに、サッカーのようなゴールを置いて得点を競う。2020年東京パラリンピックの正式種目だ。

 2月下旬、女子日本代表候補選手の合宿が神戸市の「しあわせの村」であり、代表入りを目指す10人が技を磨いた。主将の天摩(てんま)由貴さん(28)=東京都=は全盲のプレーヤー。「視覚障害の有無に関係なく、アイシェードを着ければ同じ条件でプレーできる。普段と違う感覚で取り組めて楽しい競技です」と魅力をアピールする。

 まるでボールが見えているかのような俊敏な動きで展開されるスリリングな攻防。来年の「世紀の祭典」を見据え、全力プレーでさらなる飛躍を期す。(映像写真部 辰巳直之、吉田敦史)

=おわり=

2019/3/14