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輝け兵庫の星 リオ 東京五輪へ

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2014年秋の仁川アジア大会重量挙げでジャークの108キロに挑む八木かなえ=韓国・仁川
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2014年秋の仁川アジア大会重量挙げでジャークの108キロに挑む八木かなえ=韓国・仁川
バレーボールの全日本高校選手権で打点の高いスパイクを武器に金蘭会を優勝に導いた宮部藍梨(右)=2015年1月、東京体育館
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バレーボールの全日本高校選手権で打点の高いスパイクを武器に金蘭会を優勝に導いた宮部藍梨(右)=2015年1月、東京体育館

 2016年リオデジャネイロ五輪を控え、各競技で日本代表争いや予選が本格化する一方、20年東京五輪でのメダル獲得に向けた強化が進む。トップ選手から次代を担う逸材まで、活躍が期待される兵庫ゆかりのアスリートに光を当てていきたい。第1回は重量挙げとバレーボール、ビーチバレー。地元神戸を拠点に、2大会連続五輪出場を狙う重量挙げの八木かなえ(ALSOK)と、尼崎市出身で、バレーボール女子日本代表のホープ宮部藍梨(大阪・金蘭会高)を中心に紹介する。

▼重量挙げ女子 八木かなえ(神戸市西区出身)神戸発の復活ロード/原点回帰で土台鍛え直す

 4年ぶりの故郷で、重量挙げ界のヒロインが輝きを増そうとしている。女子53キロ級でロンドン五輪に出場した八木かなえは、金沢学院大を卒業した今春、母校の須磨友が丘高など、神戸を練習拠点に定めた。「私の原点だから」と思いを語る。

 高校生と一緒に基礎練習に励む。ロープを操って腕を鍛え、脚力を高めるジャンプを繰り返す。「まず、けがをしない体をつくる」。競技を始めて7年間で満身創痍(そうい)になった土台をつくり直す構えだ。

 デビューは鮮烈だった。神戸市立押部谷中時代に体操競技で培った身体能力を生かし、全国高校女子選手権3連覇、日本高校記録も更新した。競技歴4年で五輪の舞台に立ち、日本中から注目を浴びた。

 一方、ここ数年は腰や肘の度重なるけがに泣かされてきた。「調子が上がってきた時ほど痛めてしまう」。無理を押しては故障が再発。記録が伸び悩み、いつしか競技を楽しめなくなっていた。

 そんなとき、母校で練習に励む後輩たちがまぶしく見えた。ひたむきにバーベルと向き合う姿に「自分もこうやったな」と初心を取り戻した。「最近は競技に集中できる。まだ伸びそう」。古里から2度目の五輪を目指す。(伊藤大介、永見将人)

 ▽やぎ・かなえ 1992年7月16日生まれ。女子48キロ級で2009年世界選手権10位。53キロ級で12年全日本選手権を制し、同年のロンドン五輪12位。13年ユニバーシアード金メダル。須磨友が丘高-金沢学院大出。神戸市西区出身。

〈ターニングポイント〉 ▼バレー女子 宮部藍梨(尼崎市出身)中、高進学時に2度の葛藤 競技への愛着再確認

 181センチの長身で、高校生で唯一、本年度のバレーボール女子日本代表に選ばれた宮部藍梨は身体能力に優れ、将来を嘱望される16歳。だが、意外にも2度、競技をやめようとしたことがある。

 尼崎市立金楽寺小3年のとき、チームが試合に出るための人数合わせで競技に誘われた。注目の存在となる一方、代表選手を夢見るほどは熱中しなかった。「中学校に上がる前、節目だし、もういいかなと思った」。ただ、ボールを触らなくなると「やっぱりやりたい」と本心に気付いた。

 家から通える有力校だった金蘭会中へ。高校進学時も続けるか迷ったが、3年の全国中学校体育大会で準優勝に終わった悔しさがあり、先輩に「高校で日本一を目指そう」と誘われたことで「もう一度やる」と決めた。

 目の前の葛藤に正面から向き合い、成長してきた。女王、金蘭会高のエースとなった今も、スパイク練習では列の後ろに並ぶほどの引っ込み思案だが「チームを引っ張る存在に」と意識し、壁を破ろうともがく。代表合宿にも「自分らしくぶつかるだけ」と自然体で臨む。(小川康介)

 ▽みやべ・あいり 1998年7月29日、ナイジェリア人の父と日本人の母の間に生まれた。昨年度のアジアユース選手権で日本の主将を務め、最優秀選手に。金蘭会高では全国大会3冠に輝いた。東京五輪に向けた日本協会集中強化対象選手。

〈メモ〉

▼重量挙げ

 11月に世界選手権があり、国別得点で日本のリオデジャネイロ五輪出場枠が決まる。日本は軽量級で上位進出をうかがう。

 女子は須磨友が丘高出身の八木かなえ(ALSOK)が3、4番手で、4枠を確保できれば2度目の五輪出場に向け、可能性が高まる。藤田真奈美(自衛隊、淡路高出)も力がある。ロンドン五輪で1枠だった男子は生頼永人(早大、明石北高出)、生頼佑馬(早大、明石南高出)、山本俊樹(ALSOK、三木東高出)らの成長に期待。

▼バレー

 今年からリオデジャネイロ五輪の予選が始まる。女子は8~9月、男子は9月に日本であるワールドカップで上位2チームに出場権が与えられる。

 女子日本代表を率いるのは、ロンドン五輪で銅メダルに導いた真鍋政義監督(姫路市出身)。本年度の代表には尼崎市出身の宮部藍梨(大阪・金蘭会高)、久光製薬(練習拠点・神戸市)から古藤千鶴、石井優希、長岡望悠、座安琴希、筒井さやかが選ばれた。仁川アジア大会代表の村永奈央(神戸親和女大)も東京五輪を見据える有望株だ。

▼ビーチバレー

 女子日本代表は兵庫県福崎町出身の牛尾正和監督が束ねる。

〈兵庫勢の足跡〉

 重量挙げ男子には淡路市岩屋出身で1984年ロサンゼルス五輪56キロ級銅メダルの小高正宏がいるほか、76年モントリオール五輪に藤代充彦、96年アトランタ五輪に納富俊行、2000年シドニー五輪に菊妻康司が出場した。

 バレーボール男子は1972年ミュンヘン五輪金メダルの中村祐造、76年モントリオール五輪と84年ロサンゼルス五輪を経験した田中幹保、88年ソウル五輪に出場した真鍋政義の姫路勢、女子は神戸市垂水区出身で84年ロサンゼルス五輪銅の広瀬美代子、豊岡市出身で2012年ロンドン五輪銅の井上香織らがいる。

2015/4/28
 

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