第2代の国連事務総長、ダグ・ハマーショルドは言ったという。「国連は私たちを天国に導くためでなく、地獄から救うためにある」。国連創設75年を迎え、その言葉はますます重い◆同氏が在職中、飛行機事故のために56歳で亡くなったのは1961年のことだがまさに同年、国連機関として設立されたのが世界食糧計画(WFP)である。きのう、WFPのノーベル平和賞受賞が発表された◆飢餓は地球上にあって人類をもっとも苦しめる“地獄”の一つだろう。戦争や災害に加えて、近年は気候変動による干ばつやコロナ禍が深刻な食料不足を招いているという。関心を呼び起こす受賞になるといい◆私たちのDNAは二重らせんなのだから-と、生物学者の森和俊さんが書いていた。「前へ進めば、たとえ遠回りであっても、らせん階段を登るように、徐々に目標に近づいていきます」。粋なたとえだと思う◆今年のノーベル賞はC型肝炎ウイルスの発見、ブラックホール研究、生物ゲノム編集などにスポットが当たった。受賞の栄誉はWFPを含めてどれも、長いらせん階段を登り続けて達した一つの高みに違いない◆“地獄”の住人をゼロにする。険しくとも、日夜そのために階段を登る人がいる。晴れの受賞をたたえたい。2020・10・10
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