正平調

時計2023/06/26

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紺色の表紙に姫路城の意匠があしらわれた1冊を手に取る。ずしりと重く、分厚い。執筆だけでも延べ200人近く、編集などを含めると関わった人たちは数え切れない。その思いが全てつまっているかのようだ◆姫路市制100周年(1989年)を記念し、81年から編さんを始めた「姫路市史」が、今春発行の最終巻「別編 年表・索引」で、完結した◆足かけ43年。有史以前から、企画が持ち上がった1970年代半ばの「現代」までを全16巻、計23冊にまとめた。考古、古代・中世、近現代などの専門部会を作り、地域から資料提供を受け、大学教員や地元高校の元教諭らが執筆してきた◆さて、ここでクイズを一つ。全巻のうち飛び抜けて人気があり、唯一重版もされた巻のテーマは? 答えは、やはり姫路が世界に誇るあのお城◆お隣の高砂市では、市史を読み、現地を訪ねて地域の歴史を学ぶ講座を開いている。図書館や公民館に置くだけでは宝の持ち腐れだ。長い年月と労苦をかけた市史は、多くの人にページを開かれるのを待っている◆「歴史を編むことに完成はない」。最終巻の巻末には、そう記されていた。編さんはまたいつか始まる。新たな歴史を刻み、次世代に誇れるまちをつくるのは、いまを生きる私たち。2023・6・26

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