兵庫県小野市は２５日までに、市伝統産業会館（同市王子町）に９月下旬の設置を目指していた新型コロナウイルスに感染した自宅療養者を受け入れる「地域の集中医療施設」の開設を見送る方針を固めた。北播磨での感染者が減少傾向になったことなどに加え、自宅療養者についての情報共有が県と十分にできないと判断した。同市は２５日、同館の集団接種会場を予定通り閉鎖した。（杉山雅崇）

　市は８月、自宅療養者対策として、集団接種会場の閉鎖後、療養者の体調を見守る施設を計画。ベッドや酸素濃縮器などを用意し、医師と看護師を常駐させる方針を固めた。９月下旬にオープンさせようと、準備を進めてきた。

　市が市内の自宅療養者の情報の随時提供を求めたところ、県は「個人情報保護条例に基づく『本人の同意があるとき』『生命、身体の保護のため緊急かつやむを得ないと認められるとき』などに限り情報提供する」との見解を示したという。

　県感染症対策課は「市町と協力する心づもりはあるが、個人情報の用途をよく検討するのは前提として、本人の同意が得られなければ情報提供には慎重にならざるを得ない」とする。

　さらに、県が宿泊療養施設の増設を決めたことや、感染者が減少傾向となっていることなどから、市は施設の開設を見送ることを決めた。集団接種会場は３回目のワクチン接種会場として利用する方針という。市は「今回の開設は見送ったが、第６波の感染拡大を想定して県との調整は続けていきたい」としている。

　同市のワクチン接種は今後、個別接種となる。市健康増進課ＴＥＬ０７９４・６３・３９７７