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「生地を着る」というイメージで作られたコート=西脇市西脇
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「生地を着る」というイメージで作られたコート=西脇市西脇
コートに使われた生地のサンプルを手にする上田さん(左)と丸山さん=西脇市西脇
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コートに使われた生地のサンプルを手にする上田さん(左)と丸山さん=西脇市西脇
3種類の生地を組み合わせ、左半身は上下で異なる=西脇市西脇(丸萬提供)
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3種類の生地を組み合わせ、左半身は上下で異なる=西脇市西脇(丸萬提供)

■変幻自在な織りを着る

 初詣でこのコートを羽織った女性とすれ違ったら、きっと振り返ってしまう。

 兵庫県西脇市の播州織メーカー「丸萬」。手掛ける生地は、一流のファッションモデルが身にまとう。同社が展開する婦人服ブランド「ポルス」の商品で今、熱視線を集めているのが、秋冬物として発売したロングコート「TRIO(トリオ)」だ。

 名前の通り、三つの生地が1着のコートを織り成す。ポルスの頭文字「P」を千鳥格子に見立てた「POLS千鳥柄」。それぞれ紡ぎ方が異なる2種類の六角形柄。3種の幾何学模様を大胆に組み合わせた遊び心は「旅の途中で風景が移り変わるイメージ」と丸山洵平常務(39)は説明する。凝った仕立てが、上質な冬の装いを演出する。

 同社は1901年創業。もともとは播州織の生地のみを生産していた。だが、90年ごろをピークに需要は減少。生き残りを懸けて他社にない技術を模索し、日本を代表するファッションブランドに生地を提供するとともに、自社製品を世に送り出すメーカーとして再興した。

 技術の屋台骨を支えるのがテキスタイルデザイナーの上田善則さん(43)。デザインを生地に織り込み、高級感を醸す「ジャカード織」。模様を決めるプログラムをコンピューター上で書き、縦糸と横糸の浮き沈みをデータに落とし込み、複雑な模様の多重織を可能にした。

 上田さんは言う。「職人が織り上げる完成像を想像してプログラムを書き、何度も試し織りする。とにかく根気のいる作業です」

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 ロングコート「TRIO」の生地には、播州織の技術が注ぎ込まれている。

 「POLS千鳥柄」は、1枚の布に5層が重なる多重織。ウールの中にポリエステルの断熱層を織り込み、軽さと暖かさを両立させる。「六角形」の一つはシンプルな「ジャカード織」。もう一つは、あえて横糸を切り、フリンジを作る「カットジャカード」と呼ばれる技法を用いた。7層構造で、輪状に縮れた「リングヤーン」と呼ばれる糸をカットし、ボリューム感を出した。

 商品価格は10万3400円(税込み)。布製コートとしては決して安くないが、今春の自社の受注会では、予想を大きく上回る予約が入ったという。

 老舗が生み出すロングコート。華麗な一着に播州織の粋が凝縮する。(伊田雄馬)

【ポルス】「丸萬」(西脇市西脇)が展開する婦人服ブランド「ポルス」は2015年に誕生。「ジャカード織」の衣料品のほか、アクセサリーやバッグなども制作、販売している。人気のロングコートは写真のオフホワイトは既に売り切れているが、色と形によっては少数在庫があるという。問い合わせは「ポルス」のホームページか同社TEL0795・22・5551

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 北播磨地域が誇るえりすぐりのモノにスポットを当てる。日常生活ではちょっと手が届かない高級品や名産品、独自のアクティビティー。北播磨が生んだプレミアムなモノから得られる価値と、地元が秘める魅力を紹介する。

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