3期12年務めた兵庫県加東市の安田正義市長が29日で任期満了を迎え、退任する。最後の登庁日だった28日、市役所前でセレモニーがあり、市職員らが拍手や胴上げで見送った。
旧社町時代から行政経験を積んだ安田氏は2010年、加東市の2代目市長に就任。市役所新庁舎建設や公共施設の再編、行財政改革、加古川河川改修など幅広い施策を推進し、現在も整備が進む小中一貫校の基本方針も固めた。
安田市長は約300人の職員らに「職員時代から計48年9カ月。皆さんのおかげで務められた。これからは市の応援団となって見守りたい」とあいさつ。花束を受け取り、車に乗り込む前に「ありがとうございました」と声を張り上げ、深く一礼した。(岩崎昂志)
■「合併成果出す思い強かった」3期12年を振り返る
加東市の安田正義市長は、退任を前に会見やインタビューに応じ、3期12年を振り返った。
-思い入れがある施策は。
「2010年の就任時から、旧3町合併の成果を出さねばという思いが強かった。中でも苦しかったのは、機能が重複した公共施設の整備。住民の思いは強く(統廃合で施設を)なくしていくのは大きなエネルギーがいる。ただ、将来にわたって維持できるかを考え、手遅れにならないようにしないといけなかった。他の施策も含め、やるべきことをやり遂げる姿勢を貫いたつもり。私は地味な市長だったと思うが、誠実さを大事にしてきた」
-合併効果は出たか。
「施設整備はまだ途上だ。小中一貫教育は整備の道筋をつけ、一定進みつつあると思う。市民感覚とのずれはあるのかもしれないが、例えば4地区を走る自主運行バスは、市民との協働の成果の一つと思う」
-退任後の予定は。
「全く白紙です。まずは体調を整えることですね。まだ67歳。今後は一市民として地域に何かお返ししたい」
-新市長に就任する岩根正氏や市民に託す思いは。
「岩根さんは国や県での勤務経験、人脈を含めて確かな手腕があり、スムーズなたすきリレーができる。小中一貫教育や市街地活性化、加古川改修など、継続課題を完成させてもらいたい。その上で岩根さんのカラーを出してもらえたら。何より、市民の協力がなければなし得ないことは多い。新市政とも力を合わせてもらえたらありがたい」
