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小野市内で暮らす田中美羽さん(右)と母真由さん=小野市内
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小野市内で暮らす田中美羽さん(右)と母真由さん=小野市内
きょうだいと一緒に笑顔を見せる美羽さん(中央、真由さん提供)
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きょうだいと一緒に笑顔を見せる美羽さん(中央、真由さん提供)

 出産事故で重い脳性まひとなった赤ちゃんと家族に補償金3千万円が支払われる「産科医療補償制度」の対象が今年1月から拡大されたことを巡り、対象外とされた家族が救済を求めている。兵庫県小野市内の田中美羽(みう)さん(10)の母親の真由さん(36)は、同じ境遇に置かれている全国の家族とともに署名活動などに取り組む。真由さんは「生まれた年が違うだけで、差があるのは納得できない」と訴える。(杉山雅崇)

■小さな体で生きようとする姿「美しい天使のよう」

 美羽さんは3人きょうだいの長女。真由さんと夫の健介さん(36)にとって待望の第1子だった。

 妊娠7カ月半の2012年6月、真由さんは突然の破水に見舞われた。緊急出産で生を受けた子どもは体重1250グラムだった。小さな体で生きようとする姿に、健介さんは「美しい天使のようだ」と思った。イメージを膨らませ、「美羽」と名付けた。

 美羽さんが退院後、足腰のリハビリトレーニングのために訪れた大阪の病院で、脳性まひとなった赤ちゃんと家族を支援する産科医療補償制度を知った。

 必要な書類を出産した病院などから取り寄せて申請手続きに入ったが、送られてきた書類の不備などが相次ぎ、16年の提出までに1年を要した。待たされた末、真由さんの元に送られてきたのは「低酸素を証明するデータがない」などとして対象外を知らせる書類。薄い封筒に入っていたわずか2枚の紙で通知を受けた。

■「医学的に合理性がない」のに

 旧制度では、美羽さんのような28~32週未満で産まれた子どもは、支給のために個別審査が求められていた。今年から適用される改定では、出産事故の有無を確認して対象の可否を決める個別審査を「医学的に合理性がない」として撤廃されている。

 しかし、過去の個別審査で対象外となった約540人の救済は新制度には盛り込まれていない。美羽さんもその一人に該当し、真由さんは「生まれた年が違うだけで、私たちは補償を受けられなかった。(改定では)個別審査をしなくなったのに」と話す。

 真由さんは看護師として県内の病院で働きながら、団体職員の健介さんと美羽さんを育てている。美羽さんは車いす生活のため、日常のほぼ全ての行動に介助が必要。特別支援学校の協力とデイサービスを利用しながら、夜勤もある真由さんの生活は多忙を極める。

■将来の夢は、学校の先生

 「家族の中で一番しっかりしているのが美羽」と真由さん。両親が出掛ける際、忘れ物があるとすぐに知らせてくれる。目立ちたがり屋で愛想も良く、カメラを向けると人なつこい笑顔を見せる。

 美羽さんの将来の夢は、学校の先生。脳性まひを乗り越え、教壇に立つことを夢見る。真由さんは「補償を受けることができたら、美羽が障害があってもやりたいことができるよう、そばにいられる。美羽の将来のためにもっと一緒の時間をつくってあげたい」と願う。

 真由さんは「産科医療補償制度を考える親の会」に所属し、署名活動や問題の周知活動に取り組んでいる。「補償が受けられずに苦しんでいる同じ境遇の親子はまだいるはず。活動を通してそういった親子とつながりたい。何か結果が出るまでは活動を続ける」と決意している。

【産科医療補償制度】出産事故に関連して発症した重度脳性まひの子どもとその家族の経済的負担を補償する制度で、2009年に創設された。公益財団法人「日本医療機能評価機構」が運営している。5歳の誕生日まで申請が可能で、一時金600万円と、19歳になるまで毎年120万円が給付される。

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