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小野翠光園を映した絵はがき。夏には多くの市民が涼を楽しんだ(小野市立好古館提供)
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小野翠光園を映した絵はがき。夏には多くの市民が涼を楽しんだ(小野市立好古館提供)
現在の小野翠光園付近。今は静かな風景が広がる
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現在の小野翠光園付近。今は静かな風景が広がる
大池と小野翠光園を紹介している冊子「播州鉄道沿線百景」(小野市立好古館提供)
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大池と小野翠光園を紹介している冊子「播州鉄道沿線百景」(小野市立好古館提供)

 兵庫県小野市中心部にあるため池「大池」に、かつて池の上に浮かぶような形で造られた「納涼床」があった。名称は「小野翠光園(すいこうえん)」。池の上に座敷を設け、橋を渡って行ける仕組みになっており、夏になると多くの市民が涼みに訪れた。提灯(ちょうちん)がともる中、夏のひとときを楽しんだといい、浄土寺などと並ぶ小野の観光名所の一つとして知られていた。(杉山雅崇)

 県のサイト「ひょうごため池保全県民運動」によると、大池は江戸時代に造成された。改修を繰り返しながら300年以上維持され、農業・生活用水を周囲の集落に提供している。

 翠光園がいつ、どのような経緯で建設されたのかは不明。だが、1915(大正4)年に出版された「播州鉄道沿線百景」に記述が残る。播磨地域の鉄道沿線にある観光地を紹介した冊子で、国宝浄土寺(同市浄谷町)などとともに翠光園が紹介されている。

 同書は、にぎわいを見せる夏の大池と翠光園の様子をこう描写する。

 盛夏の候、あるいは船を浮かべ、あるいは池畔の旗亭(きてい)に涼をいれる者多く、舟中の絃歌(げんか)、楼上の嬌声(きょうせい)に和してそぞろに水郷の美を偲(しの)ばしめる。

 このほか、戦前の絵はがきでも市内の名所として翠光園が登場する。立派な屋根付きの施設には提灯がぶら下がっており、人びとが水上の景色を楽しんでいる様子が映っている。小野では名の知られた観光スポットだったようだ。

 翠光園が姿を消した時期も不明だ。記録によると、43(昭和18)~64(同39)年、ため池の補強工事が断続的に行われていることから、この期間のいずれかで閉鎖されたとみられる。

 かつて多くの人が訪れた施設の名残はなく、今の大池は一日中静寂に包まれる。猛暑が続く中、池の上で涼しげな宴会を楽しむ人びとの姿を想像すると、少しうらやましい。

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