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法人化後のビジョンを語る山本代表(右)と小椋夫妻=多可町中区門前
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法人化後のビジョンを語る山本代表(右)と小椋夫妻=多可町中区門前
ワークショップの参加者によって行われた古民家改修(山本代表提供)=多可町中区門前
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ワークショップの参加者によって行われた古民家改修(山本代表提供)=多可町中区門前

 地域活性化に取り組む兵庫県多可町の任意団体「紡(つむぎ)」が7月下旬に一般社団法人となり、古民家再生と利活用の事業を本格化させている。法人化により古民家の所有者との交渉が円滑化し、賃貸物件の不足などの地域課題に腰を据えて取り組めるようになるという。山本早希代表は「地域での信頼関係を強みに、行政の手が届かない課題に取り組みたい」と意気込む。(伊田雄馬)

 「紡」は、阪神間から移住した小椋聡さんら古民家好きの有志が集まり、2017年に結成。これまで空き家を舞台にした模擬店舗「空き家マルシェ」を企画するなどして古民家の活用法を模索してきた。移住を検討する人の相談に乗り、移住者の定着にも貢献している。

 行政と一体になった取り組みで、町への移住希望者は増加。一方で「空き家はあるものの、賃貸物件が足りない」(山本代表)という問題が顕在化し、移住者に紹介できる物件が不足するようになったという。

 山本代表によると、通常、空き家の持ち主は家を処分する際に不動産店へ相談し、「売却」「賃貸」の2択を提示される。いずれにしても家の状態が悪ければ改修費がかかり、取り壊しの選択肢もある。

 「紡」が提案するのは、どちらでもない解決法。物件を所有者から10年契約で無償借用し、協力する工務店や「古民家ワークショップ」の参加者の手を借りて人が住めるように改修。その後は賃貸物件や店舗、イベント会場として活用し、資産価値を高めた状態で所有者の手に戻す。

 法人側は移住者から家賃を、場合によっては所有者から改修費用の一部を受け取ることで収益を得る。家主との交渉を円滑に進める上でも法人格の取得が望ましく、7月下旬に一般社団法人となった。町職員として地域振興に携わった経験を持つ山本代表は「行政では所有者の個別事情に踏み込むことが難しい」と活動の意義を語る。

 宿泊事業も収益の柱として期待され、山本代表は「朝食を近所のおばあちゃんが運んできてくれるような形にしたい」という。

 小椋さんは「活動しなくてもコストがかかるのが、任意団体との違い」と法人化のリスクを認めつつ、「移住希望者は高い期待を持って多可町へ来るが、裏を返せば『期待外れ』にもなりやすい」といい、新法人での古民家整備に強い思いを寄せている。

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