北播

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小学校の授業参観の風景(「昭和の家族」の投稿から)
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小学校の授業参観の風景(「昭和の家族」の投稿から)
西脇市内にあった映画館「蓬莱座」(「昭和の家族」の投稿から)
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西脇市内にあった映画館「蓬莱座」(「昭和の家族」の投稿から)
昭和中期の商店の様子(「昭和の家族」の投稿から)
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昭和中期の商店の様子(「昭和の家族」の投稿から)
昭和中期の街角(「昭和の家族」の投稿から)
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昭和中期の街角(「昭和の家族」の投稿から)
織物まつりでにぎわう市街地(「昭和の家族」の投稿から)
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織物まつりでにぎわう市街地(「昭和の家族」の投稿から)

 「昭和時代、とある街の、とある家族の写真」。そんな自己紹介とともに、昔懐かしい写真を投稿するアカウント「昭和の家族(@shouwanokazoku)」がインスタグラムのフォロワー数約8万人と人気を集めている。多くのユーザーが反応しているのはノスタルジックな写真の数々だが、兵庫・西脇市民の受け止めは違った。織物工場や織物まつり、閉館した映画館「蓬莱座」…。「これ、西脇やん!」とコメントする市民が続出している。(伊田雄馬)

 アカウントが開設されたのは今年2月ごろ。始めた頃は毎日、開設から10カ月が過ぎた現在でも数日おきに写真をアップ。多い写真には200件近いコメントが寄せられ、アカウントの管理者はほとんどに返信している。

 投稿される写真は1964(昭和39)~67(同42)年に撮影。アカウント名通り、家族写真を中心としながらも、活気にあふれる街角や商業施設、織物工場で働く人々の表情などを撮影した懐かしい写真が並ぶ。

 インスタに投稿しているのは西脇市内在住の50代の男性。男性によると、撮影地は西脇で間違いないといい、撮影当時は両親と兄の4人家族で暮らしていたという。「父はカメラが好きとかではなく、とにかく家族の記録として写真を残していた」と振り返る。

 男性は父が残した記録をデータに移行しようと、大量の写真を1枚ずつスマホで地道に撮影。そんな時に出合った本が「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」(光文社新書)。モノクロ写真を最新のAI技術などでよみがえらせる同書に触れ、「写真に色が付くだけで、こんなに身近に感じられるのか」と衝撃を受けた。

 男性はアルバムいっぱいのモノクロ写真を、スマホのアプリでカラー化してみた。そこに現れたのは、他界した両親や幼き日の兄弟、家の内外の景色。「両親はこんなにも慈しみ、愛して育ててくれたのか」。さまざまな思いが心の中で一気に広がり、涙があふれて止まらなかったという。

 男性は交流サイト(SNS)を通じて写真を公開。あくまでも家族写真なので「見てくれる人がいるのか」と軽い気持ちだったが、いざ公開を始めると、反響は予想を大きく上回った。同世代を中心に「懐かしい」「自分の子ども時代と重なる」と好評。駄菓子店や街を走る自動車のちょっとしたディテールにも反応する人が絶えない。

 生き生きとした人たちの表情や活気あふれる街角の風景。「昭和レトロ」の一言で片付けられないリアルな昭和期の画像は、当時を知らない世代の目にも新鮮に映り、若者や外国籍のフォロワーも多い。

 当時を懐かしむ数多くのコメントに励まされているという男性。写真は数に限りがあるが、すべて投稿し終えてもアカウントは消さずに残しておくという。「父が残した写真が多くの人の心を温めていると思うと、開設してよかった」と語っている。

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