兵庫県西脇市鹿野町の畑に、播州織で作られた約１６００本の風車が登場した。市内の造形作家、藤井俊策さん（７３）が高校生らの協力を受けて制作し、所有する畑に展示。風を受けてくるくると回転し、夕方以降は発光ダイオード（ＬＥＤ）が幻想的な雰囲気を醸し出す。

　藤井さんは稲わらを使ったアート作品などをコンクールに出品する。昨年４月には亡くなった妹の小東風彩さん（享年７０）をしのび、同じ畑に播州織のキルト約１万１千枚を敷き詰めて地域住民を楽しませた。

　風車のテーマは「あなたに明かりを」。誰にも個性があることを表現しようと、設置する高さを４０～６０センチでばらばらにし、大きさも一つずつ異なる。向きもあえて別々にし、風が吹く方向によって回る風車が変わる仕掛けだ。

　藤井さんは西脇北高校や西脇病院に制作協力を依頼。地域住民の助けも借り、半年かけて１６００個を集めた。小東さんが残した播州織の端切れからできた風車は色とりどりで、時間によってさまざまな表情を見せる。

　日が傾くと、山々の向こうに消える夕日が水の張られた畑をあかね色に染め、水面には幾本もの影法師が伸びる。辺りが暗くなると、太陽光で蓄電したＬＥＤが花びらのような光でところどころを照らす。

　普段と異なる風景に、近所の人も足を止めて見入る。風車は１月いっぱい残しておくといい、藤井さんは「水面が凍り付いた朝の光景も魅力的」とアピールする。

　住所は同市鹿野町９９５の８付近。