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大豆ミートなど工夫を凝らし、カレーの試作に挑戦する下里小の児童=加西市戸田井町、善防公民館
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大豆ミートなど工夫を凝らし、カレーの試作に挑戦する下里小の児童=加西市戸田井町、善防公民館
2回目の試作では、2種類のカレーができた。児童は食べ比べて吟味=加西市戸田井町、善防公民館
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2回目の試作では、2種類のカレーができた。児童は食べ比べて吟味=加西市戸田井町、善防公民館
子どもたちのレシピ通りに作られた「カフェ・フラット」のカレー=加西市中西町
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子どもたちのレシピ通りに作られた「カフェ・フラット」のカレー=加西市中西町

 兵庫県加西市立下里小学校(同市西笠原町)の児童が、2年がかりで地産地消カレーの商品化に取り組んでいる。試行錯誤を重ねて昨年度、地元産の米や野菜を生かしたレシピを完成させた。プロの料理人も驚く仕上がりで、本年度中に販売を目指す。「地域の人たちの協力でおいしいカレーができた。広めたい」と胸を張る子どもたち。市内の農家や農業研究者らと交流を重ねてたどり着いた、ここまでの道のりをたどった。(敏蔭潤子)

 同市は、文理融合の知識を活用し地域課題の解決に取り組む「STEAM(スティーム)教育」を全小中学校で展開している。同校では2022年度、5、6年生が地元農産物の消費拡大や農業振興を目標に取り組んだ。

■心得を教わる

 カレー作りに先立ち、子どもたちは昨年5月、県立農林水産技術総合センター(同市別府町)研究員の杉本琢磨さんに研究の心得を教わった。

 「失敗を恐れずに挑戦して、失敗したときは原因を考え工夫する」「チームで意見を出し合う楽しさを感じる」「協力してくれる人への感謝を忘れない」。杉本さんの言葉を胸に、子どもたちはレシピ作りに着手した。

 最初は、カレーに合う野菜や米選び。児童はさまざまな生産者に助言を受けた。杉本さんは「カレーの中に入れても甘さが引き立つ」と、自ら品種改良した黒大豆枝豆「ひかり姫」を推奨。地元営農組合からは、特産の米「キヌヒカリ」を薦められた。粘りが少なくカレーのルーに絡みやすいという。また、播磨農業高校生と神戸大食資源教育研究センター職員は、同センターが開発したジャガイモ「まるはり」をプッシュ。「ほくほくで甘い。煮崩れしにくい」と教えてくれた。

 次に、アレルギーにも気を配った。「誰もが食べられるようにしたい」と、アレルギーの原因となる食材を含まないカレールーをインターネットで探した。肉は、豆腐を揚げた「大豆ミート」で代用することにした。

■自宅でも研究

 昨年12月、いよいよカレーの試作に挑戦。農産品加工教室の会員や市の栄養教諭らに指導を受けて臨んだ。けれどこの時は、大豆ミートを作る際、汁気を搾った豆腐に片栗粉をかけすぎて、カレーがどろどろになってしまった。

 みんなは改善点を話し合った。大豆ミート作りを担当する児童は、自宅で試作しながら、下味の調味料の分量を考えた。黒大豆枝豆を担当した田中奏志君は、自分の家庭の味を取り入れた。「お母さんやおばあちゃんがカレーに黒大豆枝豆を入れるとき、さやのままゆでると甘くなると感じた。カレーに入れる枝豆も同じようにした」

 今年1月、2度目の試作に挑んだ。大豆ミートは、揚げる直前に茶こしで均等に片栗粉を振りかけるようにした。ジャガイモは、火が通りやすいように4等分。さらに隠し味として蜂蜜とかつおだしを加え、約30分煮込んで味に深みを出した。

 2、3月には校区内の飲食店「カフェ・フラット」(同市中西町)が、子どもたちのレシピに沿って調理。できたカレーは児童や保護者、レシピ作りに関わった人、誰からも好評だった。同店の青田千代さんは「大豆ミートは唐揚げみたいな味と食感。店のメニューにも取り入れたいほどおいしい」と絶賛した。

 「どうすればおいしくなるか、日々練習と実験を怠らない」-。杉本さんの言葉を実践し、いろんな大人に教わってレシピを作り上げた子どもたち。プロジェクトは新6年生が引き継ぎ、レトルト商品作りなど販路拡大を目指す。

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