兵庫県姫路市立城陽小学校で特別支援学級の担任をしていた元教諭の男性(39)が差別的な暴言や体罰を繰り返していた問題で、過去に元教諭が担任する学級に在籍していた男児の母親が3日までに神戸新聞社の取材に応じた。男児が元教諭から叱責(しっせき)されているのに気付きながら母親として声を上げられなかったといい、「安易に放置した管理職や、子どもの弱みにつけ込んだ元教諭を許すことはできない」と言葉を振り絞った。(井上 駿)
この問題が学校内で発覚してから間もなく半年となる。「息子は今は元気に通っているが、心の傷は本当に癒えたのか不安は消えない」と胸の内を明かす。
男児は集団行動が苦手で「クラスメートの邪魔をしてはいけない」と支援学級を選んだ。普通の子どもより大変だろうから、「学校に手が掛かる子を預けている」という負い目があったという。
元教諭が担任になってから、男児は「また怒られてん」と不満を漏らすようになった。本人は怒られた理由を理解できておらず、違和感が残った。息子からのSOSに気付きながら「我慢しようね」と慰めることしかできなかったという。元教諭の補助役で、暴言や体罰を管理職に告発した女性職員を慕っていたため、何とか通い続けたという。
理解できない理由で児童を叱り、親に説明もない。元教諭は支援学級には合っていないように感じたが、担任が代わることはなかった。「また怒られるから言わないで」と息子に頼まれ、学校側に苦情を言えなかったという。
女性職員は2018年度から少なくとも7回、学校側に実態を訴えたが、管理職は確認もせず、事実上放置したことに今でも納得できずにいる。
「なぜ学校はすぐに動いてくれなかったのか」「なぜ、他にも見聞きした教職員がいたのに訴えは届かなかったのか」
学校の説明会で何度も疑問をぶつけたが、現校長からは「口頭注意で直ると思っていた」という言葉しか返ってこなかった。
発覚後、個々の教員は児童のケアに一生懸命取り組んでいると感じる一方、管理職は責任を十分果たしていないように映り、わだかまりは消えない。
現在、市教育委員会が弁護士ら外部委員による検証委員会をつくり、原因や背景の調査、関係者へのヒアリングを進めている。母親は「学校現場の体質や歴代の管理職の責任まできちんと明らかにしてほしい」と願っている。
【姫路市立城陽小学校の特別支援学級での暴言・体罰問題】担任だった元教諭(39)が2018年以降、児童6人に「生きる価値がない」などの差別的な暴言や、体を押さえつけるなどの体罰を繰り返していたことが発覚。元教諭の授業をサポートする女性職員が管理職に少なくとも7回相談したが、管理職は市教育委員会に報告したり、確認したりせずに事実上放置。今年6月、女性職員が元教諭の問題行為を記録したメモを校長に提出したことで学校側が調査を始め、県教委が計34件を認定し懲戒免職とした。
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