優しい笑顔と最後の晩ご飯の味を思い浮かべた。母多美子さん=当時(57)=を亡くした神戸市長田区の会社員西史成(ふみなり)さん(49)は神戸・三宮の東遊園地で手を合わせた。「もう一度、お母さんのご飯が食べたい」。思いは変わらない。(井沢泰斗)
27年前、神戸市東灘区の2階建て木造アパートで、両親は1階、史成さんは2歳上の姉と2階で暮らしていた。
家族の中心は、厳しい半面、優しく頼りがいのある多美子さん。心臓に持病があったが、大好きなたばこだけは離さない。毎朝コーヒーをすすりながら煙を吐き、ゆっくりと新聞を読んでいた姿が今も鮮明だ。
震災前日の夜。史成さんは勤め先の喫茶店から母に電話した。「ごめん、仕事でちょっと遅くなるから晩飯作ってくれへん?」。「体調悪かったらいいんやけど」と続けると、「ええよ」と優しく答えてくれた。
普段は外食中心。自らも調理師だが、母の作る料理が一番好きだった。
「体は大丈夫か」「将来は、自分で店をしたいんや」。帰宅後、たわいない話をしながら、多美子さんが作った料理を食べた。鶏の唐揚げ、ハムエッグ、みそ汁、キャベツの千切り、白ご飯。メニューも味も、はっきりと覚えている。
それが、最後の穏やかな思い出になった。
翌早朝、史成さんは目覚まし時計で起きた瞬間、激しい揺れに襲われ、たんすの下敷きになった。何とかはい出すと、アパートは1階部分がつぶれ、両親の部屋はない。父親は一命を取り留めたが、素手でがれきの下から掘り出した多美子さんは既に息絶えていた。
しばらく母の死を受け入れられなかった。「買い物に行っても、銭湯に行っても、気付いたら姿を探してるんよね」
震災で勤めていた喫茶店は廃業し、仕事も家も失った。被災時のけがで後遺症が残り、今も通院する。それでも何とか生きてきた。
毎年1月17日は東遊園地で母の名が刻まれた銘板の前に立ち、1年間の出来事を報告する。「会いたい。たぶん死ぬまで、この気持ちは切り替えられない」
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