魚介類の不漁やノリの色落ちが深刻な問題になっている。原因の一つが、水質がきれいになり過ぎたことによる海水中の栄養不足だという。豊かな海を取り戻すため、兵庫県明石市の下水処理の現場では主な栄養素である窒素を減らさない処理方法の模索が続く。その最前線、明石市立大久保浄化センター(兵庫県明石市)の取り組みに密着した。(松本寿美子)
■酸素量を抑制
「下を見てください。酸素を送り込んでいるのでブクブクと泡立っているでしょう」
地下にある下水処理場。若松正弘所長が足元の「エアレーションタンク」の中を指さした。目を凝らすと、確かに茶褐色の水面が白濁している。下水の中に空気を送り込んで微生物に活動を促し、汚れを除去するのだという。
下水が施設に流れ込んでから処理を終えて出るまでおおよそ10時間。最終沈殿池直前のエアレーションタンクで、6~8時間置かれる。そして、ここが窒素濃度を左右する肝になる。簡単に言うと微生物が餌を食べる場所だ。
海の栄養不足が問題になるまで、このタンクでは微生物の活動を促し、栄養(窒素)が少なくなるようにしていた。しかし、同センターは昨年から送風を抑えて窒素濃度を高めに設定。1日平均水1リットル当たり16ミリグラムの濃度を目標にし、一定の栄養を保つ。
訪ねた日は8ミリグラム。「昨年よりはコントロールできるようになり、春先は16ミリグラムに届いたが、現在は下がっていますね」
■専門職の入庁
地上に上がると、理科の実験室のような検査室で、管理・水質係の増田晴樹さんが筒状のガラス5本に入った水を見つめていた。先ほどのエアレーションタンクから採取したといい、茶色の固体が沈んでいた。
「ツリガネムシなどの微生物を含む活性汚泥です。沈みやすさを見て、最終沈殿池でちゃんと沈むかどうかをチェックします。上水を放流することになるので」と説明する。置き時間30分のうち十数分が経過した段階で、もうくっきりと水と泥とに分かれた。
増田さんは大学で化学工学を専攻。水処理の専門企業を経て、環境化学職として今春入庁した28歳だ。いかに窒素を減らさず、一方で大腸菌などを上昇させず水質を保つか、という難しいテーマに挑む。
「自分が暮らす地域のため、学んできたことを生かしたい」という。
■効果を期待
水質汚染が問題になったのは1970年代。全国の河川、湖、海で、水中の窒素やリンが増え過ぎる「富栄養化」が進み、各地で悪臭や赤潮などが発生した。
下水処理施設の整備などで改善したが、今度は95年ごろからノリの色落ちが目立ち始めた。
明石市にある四つの浄化センターでは、一定の窒素量を確保する管理運転を2008年の試行から順次開始。昨年、全センターで行われるようになった。
だが、漁獲量は回復していない。瀬戸内海周辺の自治体でも「貧栄養化」対策には温度差があるという。
鈴木庸介・下水道担当次長は「広大な海に比べればわずかな量ではあるが、何十年間かけて今の状態になったのだから、続けていくことで回復もしていくはず」と取り組みの効果を期待する。
雨が増える夏場は汚水の微生物が活性化し、窒素濃度が不安定になるという。豊かな海の復活を目指し、地道な闘いは続く。
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