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亡くした母を思い、瞑想空間を訪れた寺内和子さん=17日午前5時27分、神戸市中央区加納町6、東遊園地
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亡くした母を思い、瞑想空間を訪れた寺内和子さん=17日午前5時27分、神戸市中央区加納町6、東遊園地
亡くした母を思い、瞑想空間を訪れた寺内和子さん=17日午前5時27分、神戸市中央区加納町6、東遊園地
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亡くした母を思い、瞑想空間を訪れた寺内和子さん=17日午前5時27分、神戸市中央区加納町6、東遊園地

 「一番嫌な日だけど、一番大切な日でもある」。母の藤井あい子さん=当時(83)=を亡くした神戸市東灘区魚崎中町の介護福祉士、寺内和子さん(74)は東遊園地の「慰霊と復興のモニュメント」にある銘板を見詰め、言葉をつないだ。

 28年前の1月17日。同区魚崎北町で1人暮らしだったあい子さんは、木造2階建ての自宅の下敷きになった。寺内さんは走って実家に向かい、がれきをかき分けた。自身も家具が当たり額から血が流れていたが、痛みは感じなかった。

 がれきの間から見えたあい子さんの両脚。手を突っ込んで触れると、まだ温かかった。近くの住民の手を借り、助け出したあい子さんは、目を見開いて「あぁ…」とつぶやいた。だが、搬送先の病院で命を落とした。

 着物が好きで、優しかったあい子さん。自宅近くには灘中学・高校があり、遠方から通う生徒を自宅に泊めて、身の回りの世話を買って出たという。生徒が試験直前になれば朝、昼、晩に加えて夜食も用意した。

 震災後、かつて世話になったという卒業生が東京や和歌山から訪ねてきて、手を合わせ、ともに涙を流した。生徒らを世話していたことは知っていたが、夜食を準備していたことなど、あい子さんを失ってから初めて知ることもあった。「もっと一緒にいてあげられたら」。そんな後悔が胸をつくこともある。

 毎年、1月17日にはモニュメントを訪れる。今も昔も変わらない思いは一つだ。「生まれ変わってもお母さんのもとに生まれたい」

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