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最高ブランド「柴山ゴールド」をPRするのぼり旗。「“神の手と目”が格付け」とうたう=兵庫県香美町香住区境、かすみ朝市センター
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最高ブランド「柴山ゴールド」をPRするのぼり旗。「“神の手と目”が格付け」とうたう=兵庫県香美町香住区境、かすみ朝市センター
「沖大」サイズのカニ。「スス」「腹キズ」「ボタ腹キズ」「指スレ」などの区分ごとに並べる=柴山港
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「沖大」サイズのカニ。「スス」「腹キズ」「ボタ腹キズ」「指スレ」などの区分ごとに並べる=柴山港
競りでは、細かく仕切られた水槽にカニの区分を示す札が並ぶ。区分ごとに競りが行われる=柴山港
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競りでは、細かく仕切られた水槽にカニの区分を示す札が並ぶ。区分ごとに競りが行われる=柴山港
選別した松葉ガニを水槽に入れる選別人の女性=柴山港
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選別した松葉ガニを水槽に入れる選別人の女性=柴山港

 松葉ガニ(ズワイガニ雄)漁が終盤を迎えた日本海。兵庫県香美町の柴山港では、選別人が水揚げされたカニを大きさ、硬さ、色などの要素で瞬く間に仕分けていく。その区分は300を超えるとも。あまたある松葉ガニ水揚げ港の中で、柴山はなぜ、「選別日本一」をうたうにいたったのか。

 柴山港では、8隻の沖合底引き網漁船が島根沖などで操業。網にかかったカニは、船上で大きさなどを大まかに選別し、港に持ち帰った後、その船専属の選別人たちが細かく仕分ける。水揚げの多い日は、深夜から翌朝の競りまで徹夜の作業だ。

 選別基準は港ごとに異なるが、柴山は特に基準が厳しい。

 脱皮を終えた「堅ガニ」は、大きさの区分だけでも、「番ガニ」(おおむね1・2キロ以上)の大・中・小▽「出ガニ」(同1キロ~1・2キロ)の大・小▽「沖ガニ」(同800グラム~1キロ)の大・小▽「箱ガニ」(同800グラム未満)の大・中・小・小々・小々②-の12種類。堅ガニ以外に、脱皮が遅れている「ブラ」「箱ブラ」や脱皮前の「二重皮」も、それぞれ大・中・小に分ける。

 ここに硬さ、色、傷、指などの要素が加わる。軟らかいのは「ボタ」「下ボタ」に分かれ、すすけた色は「スス」「下スス」。体に傷があるのは「キズ」、擦れたような傷は「スレ」。短い指は「短足」。指がないのは「1本落」「2本落」、3本以上はまとめて「指落」とする。ほかに「下カ」や「赤足」と呼ばれる区分もある。

 例えば、「箱小々短足」は、「箱ガニ小々のサイズで短い指がある」という意味だ。選別区分は漁業者と仲買人が1年ごとに見直すが、近年はカニの高級志向が強まり、選別もより細分化。前但馬漁協柴山支所長の和田耕治さん(62)は「選別の種類は300を超えるはず。選別日本一は決して誇張じゃない」と話す。

 最も大きな「番ガニ」などの上物は、素人では気づかないようなわずかな傷や指の短さも見過ごすことはない。ちなみに、最高ブランドの「柴山ゴールド」は1・35キロ以上の「番ガニ大」などから認定され、千匹に1匹と言われる。

 なぜ、ここまでこだわるのか。柴山港所属「栄正丸」船主でもある但馬漁協の村瀬晴好組合長(72)は、仲買人の需要に沿う形で選別が増えてきたとみる。柴山港は平成の初めごろから他港に先駆けて、船や競り場に冷水機や水槽を整備し、生きた「活ガニ」を競る体制を整えた。ボイルだけでなく、焼き、しゃぶしゃぶ、刺しなど、食べ方の選択肢が広がり、選別の細分化に影響したと考える。

 水産加工会社ヤマヨシ(香美町香住区上計)の山本卓也社長(63)は「旅館や料亭など納品先によって『この部分がほしい』『これはダメ』など求めるカニは異なる。そうした需要に応える形で、選別も増えていったのでは」と話す。

 40年前の選別は今より大ざっぱだったが、大きさや身の詰まり具合、指の有無などの基本は変わらないという。「昔から柴山の漁業者には、買い手の要望にできるだけ対応しようという姿勢があった。そういう部分は感謝せなあかん。夜通しで選別してくれているんだから」

但馬
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