新型コロナウイルスの感染対策が緩和された今年の春は、満開の桜の下に花見客が集う。4年ぶりにかつての光景を取り戻した日本の春だが、桜の樹皮の下で危機が進行している。幼虫がサクラやウメ、モモなどの木を食い荒らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の被害が全国で広がっているのだ。専門家は「花見ができなくなる可能性は十分にある」と警鐘を鳴らす。(末吉佳希)
3月中旬、兵庫県芦屋市の桜並木の1本が姿を消した。のこぎりを手にした作業員がつぼみを蓄えた枝を次々と切っていく。切断された幹には小指ほどの穴が開き、中で数センチの白い幼虫が体をうねらせていた。
「いると分かっていても、いざ見つかるとつらい」。伐採に立ち会った樹木医、宗實久義さん(73)=姫路市=の表情が曇る。幼虫は樹木の内部を食い荒らす。木へのダメージは大きく、進行すると手の施しようがない。この木も花を咲かせる余力はあったが、倒木や被害拡大の懸念から、伐採は避けられなかった。
国内では約10年前に初めて被害が確認され、関東や近畿など13都府県に拡大。輸出入用の木製梱包材などに紛れて入った可能性があり、成虫は飛ぶだけでなくトラックの荷台などに張り付き、人の移動に伴って広がる場合もあるという。
繁殖力も強い。在来種のカミキリムシが産む卵の数は多くて100個ほどだが、「クビアカ-」は500~千個を産む。宗實さんは「好物のサクラやウメなどが多く天敵が少ない日本は、クビアカにとって天国のようだろう」と指摘する。
県や各市町は対策を強化している。毎年約500本のサクラが咲く明石市の石ケ谷公園では、昨年6月に成虫を確認後、約1カ月間で8匹を捕獲。21本で幼虫が寄生している兆候を示す「フラス」(フンと木くずが混ざったもの)が見られ、重度の6本は伐採し、残る15本には薬剤を注入した上で成虫の拡散を防ぐネットを張った。
芦屋市でも3カ所計7本でフラスが見つかり、2本を伐採した。神戸市北区でも昨年夏以降、フラスや成虫の目撃が報告された。たつの市では被害が確認されていないものの、管理業者向けの研修で専門家らが防虫ネットの巻き方を伝えた。
「生きた桜を切る残酷な状況をこれ以上増やさないためにも、何より重要なのは『地域の目』」と宗實さん。予測不能な虫の行動や環境のわずかな変化に気づくには地元住民の監視が最有力だといい、「日本の心の風景を後世に引き継いでいくためにも害虫対策に関心を高めてもらえれば」と力を込める。
フラスの排出は3~10月。成虫は6~8月に活動する。成虫やフラスを見つけた場合は、県自然鳥獣共生課TEL078・362・3389まで。
【クビアカツヤカミキリ】体長2~4センチのカミキリムシ科の昆虫で北ベトナムから南ロシアまで分布。2018年に特定外来生物に指定された。成虫は光沢のある黒色で胸部が赤く、サクラやモモ、ウメなどバラ科の木を好む。幼虫は樹皮下を食べ、うどん状のフラスを大量に排出する。12年に愛知県で国内で初めて被害が確認され、農業被害が深刻な地域もある。
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