東日本大震災から6年となる11日、サッカーJリーグ1部(J1)のヴィッセル神戸は仙台市のユアテックスタジアム仙台でベガルタ仙台と対戦する。発生日に仙台で試合があるのは震災後初めてで、関係者によると、リーグ側が復興の後押しになるよう、被災地同士の対戦を設定。神戸にも「忘れてはいけない」と特別な思いを持つ選手とコーチがいる。
昨季まで2シーズンを過ごした仙台から神戸に加入した渡部博文選手(29)。山形県長井市出身で、震災当時は栃木のチームにいた。その年、東北出身のJリーガーでつくる「東北人魂を持つJ選手の会」の一員として被災地を巡り、サッカー教室などを開催。子どもたちとボールを蹴り合い、笑顔に触れた。
仙台に加入した2015年には、仙台市内の小学生をホーム戦に招待する「未来シート」を企画した。「子どもたちを勇気づけたい」という熱意にほかの選手も賛同し、シーズンを通して続けた。
3月11日は、古巣のピッチに立つ。「サッカーができることを感謝するとともに『いい試合だったな』と思ってもらうのが一番」。全力プレーを、復興を歩む人たちに届ける。
一方、川西市出身の吉田孝行ヘッドコーチ(39)は神戸で引退後の15年、阪神・淡路大震災20年に合わせて三浦知良選手らを招き、チャリティーマッチを開いた。「見に来たみんなが主役で、防災意識や震災の記憶を風化させてはいけないというメッセージが伝わった。今回の対戦もそうなると思う」
コーチとして選手に期待したいことがある。「がむしゃらでひたむきな姿。それが勇気や感動を与える」。身をもって知っているからだ。
神戸は11日、サポーターらから寄せられたメッセージと千羽鶴を仙台に届ける。同日午後4時から神戸市兵庫区のノエビアスタジアム神戸で無料観戦会「パブリックビューイング」も開く。
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(有島弘記)