J1神戸は17日、吉田孝行監督(41)を事実上解任し、新監督にスペイン出身のフアンマヌエル・リージョ氏(52)が複数年契約で就任すると発表した。成績不振によるシーズン途中の監督交代は2年連続となる。
三木谷浩史会長(53)が2004年に神戸の経営権を引き継いで以降、監督交代は今回で15度目。これまで、今夏のワールドカップ(W杯)ロシア大会で日本代表を16強入りに導いた西野朗氏(63)らを招いてきたが、16年シーズンの7位が最高成績となっている。
ビザ発給などリージョ氏の就労環境が整うまでアシスタントコーチの林健太郎氏(46)が暫定監督として指揮する。(有島弘記)
【新任コーチ】ヘッドコーチ イニーゴ・ドミンゲス・ドゥラン▽アシスタントコーチ ホルヘ・ムニョス・ディアス、マルコス・ビベス
【退任コーチ】ヘッドコーチ ゲルト・エンゲルス▽アシスタントコーチ 内山俊彦、公文栄次
(注)吉田孝行監督を含め、退任コーチは神戸のスタッフとして残留
■新指揮官「チャンス頂き感謝」
神戸の再出発となるリージョ新監督の就任会見で、三木谷会長は「アジアナンバーワンの目標のため、知見のあるリーダーシップが必要。さらにステップアップしなければならない」と、リーグ戦途中での前向きな指揮官交代を強調した。
チームが目指す“バルサ化”へ向け「ポゼッションサッカーの開拓者」(三木谷会長)に白羽の矢が立った。リージョ氏は、バルセロナのグアルディオラ元監督が師と仰いでおり、レアル・ソシエダ(スペイン)などを率いたほか、セビリア(同)ではアシスタントコーチとして元日本代表MF清武を指導した。三浦スポーツダイレクター(SD)は「バルセロナを指揮した人たちが皆彼へ相談に行く」と功績の一端を紹介し「時代の最先端を行く指導者。世界一の戦術家であることは間違いない」と力を込める。
三木谷会長は「まさか引き受けてくれるとは」と隣に座る革新者の獲得に本音ものぞかせつつ「アジアの頂点を目指すわれわれのプロジェクトに興味を示してもらえた。世界に通用するチームになるため、躍進に期待してほしい」と呼び掛けた。
会見を見守ったイニエスタら所属選手を前に「ピッチ上のアーティストと言える選手たちに対し、どんな側面から貢献できるか。チャンスを与えていただき感謝している」と話した新指揮官。チームの再浮上へ向け、主将のポドルスキは「皆が同じ目標に向かって100パーセントの力を出せるよう、新監督とともに進んでいきたい」と心を新たにしていた。(長江優咲)