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J1神戸の下部組織でバルサ化を推し進める平野孝アカデミー部長=神戸市西区、いぶきの森球技場
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J1神戸の下部組織でバルサ化を推し進める平野孝アカデミー部長=神戸市西区、いぶきの森球技場

 スペインサッカーの名門バルセロナを手本に、ボールを保持して攻め込む「ポゼッション」の確立を目指すJ1神戸。トップチームは苦戦し、新たにイングランド・プレミアリーグのアーセナルで長く指揮を執ったアーセン・ベンゲル氏(69)に監督就任を要請したという話も浮上しているが、バルサ化の方針は、今季から活動費を無償化したU-12(小学6年生以下)チームなど育成年代でも進められている。元日本代表で推進役の平野孝アカデミー部長(44)に浸透の鍵について聞いた。(有島弘記)

 U-12は例年の倍を超える約270人が受験し、20人弱が合格した。中でも、U-9(小学2、3年生対象)の新設が応募者数を押し上げた。

 「若年層からわれわれの考え方を理解させたかった。一貫したトレーニングの中でスタイルを構築するとなれば、少しでも長い期間、一緒にサッカーをすることが大前提になる」

 バルセロナの英雄、イニエスタを獲得するなどトップチームが推し進める「バルサ化」も、呼び水となっている。

 「U-15(中学生年代)では今回、富山と鳥取の2人が保護者と一緒に神戸に引っ越してきた。奈良から2時間かけて通う1年生もいて、そういったメンタリティを持つ選手を、われわれは大切にしないといけない」

 育成のコンセプトは大きく分けて二つあるという。

 「一つは、ボールを保持するためにプレーの原理原則を理解し、頭を使うこと。メンタルやフィジカルも必要だが、それぞれを積み上げるのではなく、風船のように同じタイミングで大きくしていく。サッカーがうまくなるのと同時にフィジカルが付いてくれば、さらにプラスになるという考え方だ」

 「もう一つがピッチの外。サッカーがうまいだけではプロになっても大成しない。三木谷ハウス(主に高校生年代が入る寮)では、しっかりとしたルールを設け、サッカーと同じように相手のことを思いやりながら生活できるか。そこをうまくリンクさせたい」

 ピッチの外では専門家によるメンタルトレーニングを本格導入。U-18所属の高校1年生を対象にしている。

 「いかに間違った判断をせずに自分の目標に進んでいけるか。筆記などをやりながらアプローチしている。極端なことを言えば、テレビを見るのか、それともしっかり寝るのか。その1個1個の判断が立派な大人になる道になる」

 育成年代を指導する上で、練習内容もこだわり抜いている。

 「メニュー(の中身)より考え方。いつも意識しているのは、試合と同じような状況でプレーすること。ただボールを回すのではなく、意図があるか。自分たち(指導者)が思うようなプレーを選手ができていなければ、それはトレーニングメニューとして、いまいちかもしれない」

 そこで、重要になるのが指導者のコーチング。そこを伸ばすために、イニエスタとともに来日したマルコス・ビベス・ヘッドコーチと、アルベルト・ベナイジェス・アカデミー総監督がコーチ陣の先生役となっている。

 「研修を各カテゴリーに分かれて毎週のようにやっている。よりコーチに理解してもらうためにメソッドグループという組織も立ち上げ、ヴィッセル神戸のプレーモデルを研究している」

 理解を深めるために映像も活用。練習拠点のいぶきの森球技場(神戸市西区)のピッチにカメラを設置し、選手、コーチ双方のレベルアップを図っている。

 「(映像分析は)あら探しよりも、その選手のプレー判断が自分たちのプレースタイルに合っているかどうか。映像を見せながら伝えると、理解が数段違う。トレーニングも、いいメニューがあれば、全てのカテゴリーで共有している。それぐらいこだわらないと選手を育成できない」

 地道な取り組みが求められる選手の育成。そこに完成はないという。

 「(インターネットを通じて)情報を取れる時代において、サッカー自体が進化している。終わりがない。理想はトップチームが必要とする選手の育成だが、もう一方で、ぱっと見て『あいつ、ヴィッセル神戸の選手だよね』と言われないといけない。誰が見ても、というのが理想だ」

 イニエスタの「8番」のように、ポジションごとに役割を落とし込む育成方針だが、そこだけに縛られない。

 「各カテゴリーで変わってくる。若年層なら最低3つのポジションを掛け持ちすることが大事。(年齢が)上に行くほど色が出てくるが、選手の成長度合いと置かれている現状を見て。『これだ』という時期はない」

 U-12世代が高校生年代を終える7年後が、成功を見極める一つの指標になるのだろうか。

 「そこは長すぎるが、3年、5年という中長期的な計画はある。世代別のワールドカップ(W杯)とか、そういう大会にうまく照準を合わせられたら、とは話している」

【ひらの・たかし】 静岡市出身。清水商高(現清水桜が丘高)から名古屋に入団し、MFとして活躍した。1998年のワールドカップ(W杯)フランス大会にも出場。神戸には2002年に在籍し、スタッフとして戻った18年4月からアカデミー部長などを務める。44歳。

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